月経前症候群（PMS）と不妊の関係性を東洋医学的に解説！

毎月決まって“月経の約3日～10日前になるとはじまるイライラや情緒不安定、胸の張り、体重増加、むくみ、便秘”などといった精神的あるいは身体的症状を経験したことはありませんか？

もしかするとそれは”月経前症候群（PMS）”かもしれません。

日本では月経のある女性の約70～80％が月経前症候群の何らかの症状を持っており、不妊の原因にもつながっているのではないかと考えられています。

実際当院にいらしている患者様にもPMSで悩んでいる方は多くいらっしゃいます。

そこで今回は月経前症候群（PMS）と不妊の関係性について東洋医学の視点で解説していきたいと思います。

みなさん、月経前はホルモンバランスが乱れるのだから”PMSはあって当たり前”だと思っていませんか？

東洋医学では”五臓六腑、気血水など身体を構成するもの全てがバランスをとることで健康が維持されている”という考えがあります。

ですが何らかの原因で五臓六腑や気血水いずれかの機能が失調すると様々な症状があらわれます。

つまり何かしらの症状は身体にとって”健康が維持できなくなっている合図”なのです。

例えば過度な緊張やストレスが続くと五臓の”肝”の機能が失調し”イライラや肩こり、頭痛”などの症状があらわれることがあります。

PMSも同じ原理です。

元々の体質傾向も影響しますが、東洋医学では月経前にホルモンや生殖機能と関係が深い”肝、脾、腎”の機能が活発に動き出し、月経が来ると同時におさまります。

するとストレスなどを感じやすい方などは月経前になるといつも以上に肝の機能が失調し、イライラなどの症状があらわれやすくなります。

そのためPMSはホルモンバランスの乱れだけではなく、身体そのもののバランスが乱れているため起こると考えられます。

東洋医学では”気”という概念があり、いわゆる”生命活動のエネルギー源”といわれています。

気は可視化できるものではないため想像しにくですが、この気が身体の表面をくまなく循環することで”外的なウイルスなどから身を守り健康を維持”してくれています。

ですが気滞とは”肝”の機能が失調することにより”全身の気の巡りが悪くなっている”状態をいいます。

肝には身体の構成要素である”気や血を全身に循環させる”はたらきがあり、全身の血流を促進します。

肝は”過度なストレスや緊張”の影響を受けやすく、緊張状態が続くと機能が失調し”気滞”の原因になります。

気の巡りが滞り気滞になると密接な関係である“血・水の流れを邪魔したり、他の臓器・組織の機能を失調させる”ことがあり、PMSの場合は

• 腹部膨満感（お腹の張り）や胸の張り
• 頭痛、季肋部や脇腹の痛み
• イライラ
• 便秘や下痢

などの症状があらわれることがあります。

さらに肝は”自律神経やホルモンバランス”との関係も深いため、肝の機能が失調するとPMSだけでなく”月経異常”などの原因にもつながります。

瘀血とは“全身の血の巡りが滞ることで血流が悪くなったり、古い血液が体内に溜まってしまう”ことをいいます。

血は“体内の血液”のことを示し、各臓器や器官に栄養を与えたり、精神や情緒を安定させる働きもあります。

瘀血は主に甘いものや油ものなど”偏った食生活”などが原因になることもが多いですが、気滞と同様に”肝”の機能の失調によるものも瘀血の原因につながることがあります。

先ほどもご紹介したように肝には”気や血を全身に巡らせる“はたらきがあるため、機能が失調すると”全身の血流が悪くなる”ことがあります。

また東洋医学では肝は”血”と深い関係があり、”血を貯蔵する”はたらきもあります。

そのため”目の使い過ぎ”などによって血を消耗しすぎると”全身に巡らせる血がなくなるため、血流が悪くなり瘀血につながる”こともあります。

瘀血により血の巡りが滞ってしまうとPMSでは

• 肩こり
• 不眠
• 抑うつ症状
• 下腹痛（チクチクと刺すような痛みや夜中に痛むなど）、便秘
• のぼせ感

などの症状があらわれることがあります。