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日焼け止めが妊娠に及ぼす影響とは?

〜オキシベンゾン・オクチノキサートなどのホルモンかく乱物質と妊活への影響を正確に解説〜

はじめに:日焼け止めの「安全神話」を見直す時代

 

「日焼け止めは肌を守るもの。安全に決まっている」——多くの方がそう思っているかもしれません。

しかし近年、日焼け止めに含まれる一部の紫外線吸収剤ホルモンかく乱物質(内分泌かく乱物質)として働き、生殖機能・ホルモン分泌に影響する可能性があるという研究が蓄積されています。

妊活中の方にとって、日常的に肌に塗る日焼け止めがホルモン環境に影響しうるというのは、決して小さな問題ではありません。

三ツ川レディース漢方鍼灸院(大東市)では20年以上・延べ3,000名以上の妊活をサポートしてきました。

このコラムでは日焼け止めの成分・ホルモンかく乱作用の現在のエビデンス・妊活中の対策を正確にお伝えします。

日焼け止めの2種類——「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の違い

日焼け止めには大きく2種類あります。

この違いを理解することが妊活中の選択の基本になります。

種類

仕組み

主な成分

皮膚への吸収

妊活上の注意点

紫外線吸収剤
(ケミカル日焼け止め)

UV光を化学的に吸収し熱に変換して無害化する

オキシベンゾン・オクチノキサート・ホモサレート・オクチサレート・アボベンゾン・オクトクリレンなど

皮膚から吸収され血液中に移行する

ホルモンかく乱作用の懸念がある成分を含む場合がある

紫外線散乱剤
(ミネラル日焼け止め)

UV光を物理的に反射・散乱させてブロックする

酸化亜鉛(ジンクオキシド)・二酸化チタン(チタニウムダイオキシド)のみ

分子量が大きく皮膚から吸収されにくい

FDAGRASE(安全かつ有効)と認定した唯一の成分群

 【成分の確認方法】 

日焼け止めの成分表示(成分名)を確認してください。

「酸化亜鉛」「二酸化チタン」のみが有効成分として記載されていればミネラル(散乱剤)タイプです。

それ以外の有機化合物名が記載されていれば吸収剤タイプです。

主な紫外線吸収剤とホルモンかく乱作用の現在のエビデンス

オキシベンゾン(Oxybenzone・ベンゾフェノン-3——最も懸念が高い成分

オキシベンゾンは世界で最も広く使用される紫外線吸収剤のひとつです。

日本では「ベンゾフェノン-3」という名称で表示されます。

研究・規制の動向

内容

皮膚吸収と血中濃度

2019年のFDA研究で、1回の塗布後にFDAが定めた安全閾値の50倍以上の濃度で血液中に検出。最後の塗布から21日後も検出された

2023年レビュー(254研究)

254の研究のレビューで、通常の使用条件下でのオキシベンゾンのホルモンかく乱作用を示す根拠が蓄積されていると報告。最も懸念される影響として生殖への影響を挙げた

2025年レビュー

最新のUVフィルターレビューでオキシベンゾンが生殖への影響・胎児への影響・思春期の変化と関連することが再確認された

妊婦への影響

体内オキシベンゾン濃度が高い母親から生まれた女児に低体重・在胎週数不相応の傾向があるという報告(ウォルフら 2008年)

エストロゲン様作用

オキシベンゾンがエストロゲン受容体に結合しエストロゲン様作用を示すことが複数の研究で確認されている

規制の動向

ハワイ・キーウェスト・EU(使用濃度制限)・パラオ・アルバが規制・禁止。FDAGRASE(安全かつ有効)とは認定していない

 

オクチノキサート(Octinoxate・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)

オクチノキサートは日本で多くの日焼け止め・化粧品に使用される紫外線吸収剤です。

日本では「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」と表示されます。

研究・規制の動向

内容

血中濃度

2020年のFDA研究でFDAの安全基準の16倍の濃度で血液から検出された

甲状腺かく乱作用

甲状腺ホルモンの産生・代謝への影響が研究で指摘されている。甲状腺機能への影響は排卵・黄体機能・着床に間接的な影響を与えうる

2024EU規制見直し

欧州委員会(EC)が2024年にホルモンかく乱作用と遺伝毒性の懸念から安全性を判定できないとの見解を示した

2025EU最終見解

欧州委員会が内分泌活性物質と認定。ただし最大10%濃度でのUVフィルターとしての使用は安全とする最終見解を発表(ただし懸念は継続)

規制の動向

ハワイ・EU(濃度制限)が規制。FDAGRASEとは認定していない

 

その他の懸念される紫外線吸収剤

成分名(日本語表示名)

懸念される作用

ホモサレート(サリチル酸ホモメンチル)

FDAが安全性評価に不十分なデータとして保留。甲状腺ホルモン関連遺伝子への影響が試験管内研究で報告

アボベンゾン(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン)

FDAGRASE認定を保留。エストロゲン活性を示す研究あり

オクトクリレン(オクトクリレン)

皮膚からの吸収は確認。内分泌かく乱作用の証拠は現時点で比較的限定的とされる

オクチサレート(サリチル酸エチルヘキシル)

FDAGRASE認定を保留。精子細胞機能への影響が試験管内研究で報告

 【現在のエビデンスの限界について正直にお伝えします】 

上記の研究の多くは試験管内実験・動物実験・疫学研究であり、「通常の使用量で人間の生殖機能に確実に悪影響がある」とは現時点では断言できません。

ただし「安全であることも証明されていない」状況です。

妊活中という特別な時期には、より慎重な選択をすることが合理的です。

ホルモンかく乱物質が妊活に与えうる影響

紫外線吸収剤がホルモンかく乱物質として作用する場合、妊活に以下のような影響が考えられます。

影響の経路

妊活への具体的な懸念

エストロゲン受容体への結合(エストロゲン様作用)

エストロゲン過剰状態を招く可能性→LH過剰・排卵障害・子宮内膜症リスク上昇の懸念

アンドロゲン受容体への影響

ホルモンバランスの乱れ卵胞発育・排卵への間接的影響の懸念

甲状腺ホルモンへの干渉

TSH上昇排卵障害・黄体機能不全・着床不全・流産リスク上昇の懸念

プロゲステロン産生への影響

黄体機能低下高温期の短縮・着床維持困難の懸念

精子機能への影響(男性)

精子の運動を制御するカルシウムチャンネルへの干渉が試験管内研究で確認されている

 これらは「懸念」であり確定した事実ではありませんが、妊活という特別な時期には不必要なホルモン環境への干渉を避けることが合理的な選択です。

東洋医学的な視点——外因(外邪)としての有害物質

東洋医学では、外部から体に侵入し体内バランスを乱すものを「外邪(がいじゃ)」と呼びます。

現代的な外邪として、ホルモンかく乱物質のような「毒邪(どくじゃ)」が気血のバランスを乱し・肝(ホルモン代謝)・腎(生殖機能)に負担をかけるという視点があります。

解毒(げどく)の働きを持つ食材(アブラナ科野菜・緑茶・みそ・発酵食品)を積極的に摂ることで、体内の解毒機能(肝の疏泄・腎の排泄)を高めることが東洋医学的な対策になります。

妊活中の日焼け止め選びの実践ガイド

選ぶべき日焼け止めの条件

条件

確認方法・具体的な商品選びのポイント

有効成分が酸化亜鉛・二酸化チタンのみ

成分表示を確認。「Zinc Oxide(酸化亜鉛)」「Titanium Dioxide(二酸化チタン)」以外の有機化合物が有効成分に含まれていないこと

「ミネラル」「フィジカル」「ノンケミカル」表示

これらの表示がある製品はほぼ散乱剤タイプ。ただし成分表示で確認することが最確実

ナノ粒子不使用(Non-nano

酸化亜鉛・二酸化チタンでもナノ粒子化されたものは皮膚への吸収が懸念されるという意見がある。Non-nano」表示がある製品が安心

無添加・低刺激処方

パラベン・フタル酸エステル・人工香料なども内分泌かく乱物質として懸念されるため、これらも含まれていない製品が理想的

 

避けるべき成分(日本語成分表示名)

 

ベンゾフェノン-3(オキシベンゾン)

 

メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(オクチノキサート)

 

サリチル酸ホモメンチル(ホモサレート)

 

t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)

 

オクトクリレン

 

サリチル酸エチルヘキシル(オクチサレート)

 

紫外線対策の代替手段(日焼け止め以外)

代替手段

効果・メリット

UVカット衣類・ラッシュガード

ホルモンかく乱物質ゼロ。露出部分を物理的に遮蔽。夏の妊活に最も安全な紫外線対策

UVカット帽子・日傘

頭部・顔への紫外線を大幅低減。簡単に実践できる

日陰の活用・ピークタイム回避

10時〜14時のUV強度が最も高い時間帯の直射日光を避ける

UVカットガラスフィルム(自動車・室内)

室内・車内での紫外線対策に。顔への日常的なUV被曝を低減

まとめ:妊活中は「ミネラル日焼け止め」への切り替えを

現時点のエビデンスでは、オキシベンゾン・オクチノキサートなどの紫外線吸収剤(ケミカル日焼け止め)が通常使用でホルモン環境を確実に乱すとは断言できません。

しかしFDAEUが安全性を完全には認定していない成分が、妊活中という特別な時期に毎日肌に塗られることには慎重であることが合理的です。

「酸化亜鉛・二酸化チタンのみを有効成分とするミネラル日焼け止めへの切り替え」は、妊活中にできる最も簡単で確実なホルモン環境への配慮のひとつです。

コストも変わらず・紫外線防御効果も同等以上の製品が増えています。

今使っている日焼け止めの成分表示を、今日確認してみてください。

三ツ川レディース漢方鍼灸院(大東市)では、日常生活の中にあるホルモンかく乱物質への対策も含めた食養生・生活習慣指導と経絡治療でサポートします。

大阪市鶴見区・城東区・旭区・東大阪・門真・寝屋川・交野エリアの方はぜひご相談ください。

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監修・執筆者

不妊専門 漢方鍼灸師

三ツ川レディース漢方鍼灸院

院長 三ツ川 友一郎

【資格】  鍼灸師・柔道整復師・医薬品登録販売者・日本刺絡学会認定鍼灸師 

【学会】(一社)日本はり医学会 理事役員・日本伝統鍼灸学会会員

【役職】大東市鍼灸マッサージ協会 会長(2017年~)

【実績】1995年開業・臨床歴31年・妊娠サポート860名超

【学術発表】医道の日本(専門誌)執筆・第50回日本伝統鍼灸学会学術大会発表

参考文献

【現代医学・規制文献】

 

1. マーベリックMK、他. ヒトへの局所塗布後の一般的な日焼け止め成分の最大使用量試験:ランダム化比較試験. ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA. 2019;321(21):2082-2091.

 

2. ムスティエレスV、他. オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3)の内分泌かく乱特性:254研究のレビュー. エンバイロメント・インターナショナル. 2023;180:108232.

 

3. リプロダクティブ・トキシコロジー編集部. UVフィルター曝露と生殖アウトカムに関する38研究のメタ分析. リプロダクティブ・トキシコロジー. 2023;116:108327.

 

4. ウォルフMS、他. 妊娠中のベンゾフェノン-3への曝露と新生児体重・在胎週数の関係. エンバイロメンタル・ヘルス・パースペクティブス. 2008;116(8):1092-1097.

 

5. 欧州委員会消費者安全科学委員会(SCCS. メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(オクチノキサート)の安全性評価に関する最終意見(SCCS/1669/23. 欧州委員会. 2025.

 

6. 米国食品医薬品局(FDA. 日焼け止め製品の提案されたルール:有効成分の安全性・有効性に関する一般的に認識されている基準. フェデラル・レジスター. 2019;84(38):6204-6275.

 

7. デ・ファルコM、他. 生殖健康・妊孕性・初期発育における内分泌かく乱化学物質:編集論説. フロンティアーズ・イン・エンドクリノロジー. 2024;doi:10.3389/fendo.2024.1478655.

 

【東洋医学的背景】

 

・黄帝内経 素問(至真要大論篇)——「毒薬攻邪」「邪气盛则实」:外部からの毒邪(有害物質)が体内の気血バランスを乱すという理論。現代の内分泌かく乱物質への東洋医学的対応の根拠(紀元前2世紀〜紀元後2世紀)

 

・本草綱目(李時珍著、1596年)——解毒薬の分類:肝の疏泄機能による解毒と、腎からの排泄機能を高める食材・薬材の体系的記載。アブラナ科野菜・緑茶・みそなどの解毒食材の薬効の古典的根拠

 【免責事項】 本コラムは医療行為の代替を目的とするものではありません。日焼け止め製品の選択については、皮膚科専門医・担当医にご相談ください。紫外線対策は皮膚がん予防において重要であり、日焼け止めの使用をやめることを推奨するものではありません。

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