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妊活中の牛乳は飲んでいい?乳製品と妊娠率の関係を東洋医学で解説

「牛乳は体に良い」と育った世代にとって、

妊活中も毎日牛乳を飲むのは

当然のことに感じるかもしれません。

 

ところが近年、

乳製品が妊娠率に与える影響については、

研究者の間でも意見が分かれています。

 

今回は、

牛乳・乳製品と妊娠率の関係について

最新のエビデンスを確認しながら、

東洋医学の視点から

体質別のポイントまで解説します。

目次

  • ​牛乳と妊娠率——科学的研究が示すこと

  • 乳製品が妊活に関わるメカニズム

  • 東洋医学から見た乳製品と体質の関係

  • 妊活中の乳製品——実践的なガイドライン

  • 当院での鍼灸・漢方による体質改善アプローチ
  • まとめ:牛乳は「体質に合わせて選ぶ」ことが大切

牛乳と妊娠率——科学的研究が示すこと

全脂肪乳製品 vs 低脂肪乳製品:Chavarro研究(2007)の衝撃

ハーバード大学のチャバロ博士らが行った大規模コホート研究(Nurses' Health Study II)では、

18,555人の女性を対象に乳製品と排卵障害性不妊の関係を分析しました。

 

その結果として注目されたのが、

「低脂肪乳製品を多く摂る女性は排卵障害性不妊のリスクが高く、

全脂肪乳製品(全脂牛乳・アイスクリームなど)を摂る女性はリスクが低い」

という逆説的な傾向でした。

 

乳製品の種類

排卵障害性不妊との関連

低脂肪牛乳(1日1回以上)

リスク約85%上昇(RR 1.85)

全脂肪牛乳(1日1回以上)

リスク約27%低下(RR 0.73)

低脂肪ヨーグルト

リスク上昇傾向

全脂肪アイスクリーム(週2回以上)

リスク低下傾向

 

この研究の解釈にはいくつかの仮説があります。

脂肪を除去する過程でエストロゲン様物質の比率が変化する、

インスリン様成長因子(IGF-1)への影響が異なる、

などが主な説として挙げられています。

 

ただし、この研究は観察研究であり因果関係を証明するものではありません。

 

また、全脂肪乳製品の摂取増加は

飽和脂肪酸の過剰摂取につながるリスクもあるため、

単純に「全脂牛乳を飲めばよい」とはなりません。

 

ART(生殖補助医療)への影響はどうか

体外受精などARTを受けている女性における乳製品の影響を検討した研究もあります。

 

ギリシャの研究(Gaskins et al., 2019)では、

高脂肪乳製品の摂取が多い女性で

・採卵数

・受精率

・胚の質

に良好な傾向が見られました。

 

一方で、低脂肪乳製品では明確な関連が認められませんでした。

 

ARTを行っていない自然妊娠を目指す女性への直接的なエビデンスはまだ限られており、

引き続き研究が必要な分野です。

乳製品が妊活に関わるメカニズム

ホルモンと乳製品の関係

牛乳にはエストロゲン・プロゲステロンなどの性ホルモンが微量に含まれています。

 

特に妊娠中の乳牛から搾乳された牛乳には、

エストロゲン濃度が高い傾向があります。

 

ただし、食品から摂取されるホルモン量が体内ホルモンバランスに与える影響は、

現時点では大きくないとする見解が主流です。

 

IGF-1(インスリン様成長因子)の影響

乳製品の摂取によってIGF-1の血中濃度が上昇することが知られています。

 

IGF-1は卵胞発育に関与しますが、

過剰になると多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の病態を

悪化させる可能性も指摘されています。

 

PCOS傾向がある方は、乳製品の摂取量に注意することが特に重要です。

 

カルシウムとビタミンDの摂取源として

乳製品はカルシウムの優れた摂取源ですが、

妊活・妊娠においてはカルシウムよりも

ビタミンDとの相互作用が重要です。

 

ビタミンD欠乏は

着床不全や流産リスクの上昇と関連するという報告があり、

乳製品だけでなく

ビタミンD補充を合わせて検討することが有効です。

東洋医学から見た乳製品と体質の関係

東洋医学では、

食品の「性質(寒熱)」と個人の「体質」を照らし合わせて、

その食品が適切かどうかを判断します。

 

牛乳は東洋医学的には

「甘・微寒」の性質を持つ食品に分類されます。

 

 

体質タイプ

牛乳・乳製品との相性

理由

腎陰虚(ほてり・口渇・夜間発汗)

少量なら可

潤す働きがあり腎陰を補う助けになるが、冷やしすぎに注意

脾気虚・胃腸が弱い

控えめが望ましい

牛乳の微寒の性質と痰湿を生みやすい性質が脾の負担に

冷え症・陽虚タイプ

温めて少量に

冷えをさらに悪化させる可能性あり。温乳・ホットミルクで対処

血虚タイプ(貧血・乾燥肌)

適量は可

甘の性質が脾を助け、血の生成をサポートする面がある

痰湿タイプ(むくみ・体が重い)

控えることを推奨

乳製品は痰湿を増やしやすく、卵胞液の質にも影響する可能性

 

鍼灸師・漢方家の視点では、

「牛乳を飲んでいい・悪い」ではなく、

「あなたの体質に合っているかどうか」

を判断することが大切です。

妊活中の乳製品——実践的なガイドライン

飲むなら「全脂肪・温めて・少量」が基本

科学的根拠と東洋医学の両方の視点から総合すると、

妊活中に乳製品を摂る場合は

以下のポイントを意識することをおすすめします。

 

ポイント

具体的な行動

種類の選択

低脂肪・無脂肪より全脂肪(普通の)牛乳・ヨーグルトを選ぶ

温度

冷たいまま飲まず、温めるかホットミルクにする

量

1日コップ1杯(200ml)程度を上限の目安にする

タイミング

朝食・昼食に合わせる。夜遅い摂取は避ける

体調確認

下痢・腹部膨満・痰が増える場合は量を減らす

 

乳製品が合わない場合の代替食品

乳製品の主要な栄養素(カルシウム・タンパク質)は、

以下の食品でも補えます。

 

栄養素

乳製品以外の主な代替食品

カルシウム

豆腐・厚揚げ・小松菜・チンゲン菜・ごま・桜エビ・いわし

タンパク質

豆乳・納豆・魚・卵・豆類

ビタミンD

鮭・さんま・きのこ類(日光浴との組み合わせも重要)

乳酸菌

ぬか漬け・キムチ・甘酒・みそ汁(腸内環境を整える)

 

豆乳は妊活に向いているか

「牛乳の代わりに豆乳を」と考える方も多いですが、

豆乳に含まれるイソフラボンは

植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)として作用します。

 

適量(1日200〜400ml)であれば、

排卵や着床への悪影響はないとするエビデンスが多く、

むしろ子宮内膜の改善に役立つ可能性も示唆されています。

 

ただし、大量摂取や高濃度サプリメントでの過剰摂取は

避けることが推奨されています。

当院での鍼灸・漢方による体質改善アプローチ

「食事を変えたいけれど、自分の体質がわからない」

という方は少なくありません。

 

当院では、

初診時に脉診(みゃくしん)と腹診によって体質を判定し、

その方に合った食事指導・鍼灸治療・漢方処方を行っています。

 

 

体質

漢方処方例

鍼灸アプローチ

腎陰虚

六味地黄丸・左帰丸

腎兪・太谿・三陰交への補法

脾気虚

六君子湯・補中益気湯

足三里・中脘・脾兪への補法

血虚

四物湯・当帰芍薬散

血海・膈兪・肝兪への補法

痰湿

二陳湯・苓桂朮甘湯

豊隆・水分・陰陵泉への瀉法

冷え(陽虚)

附子理中湯・右帰丸

関元・命門へのお灸

 

食事の見直しだけでなく、

体の根本から整えることで、

・卵子の質

・子宮内膜の状態

・ホルモンバランス

が改善されやすくなります。

まとめ:牛乳は「体質に合わせて選ぶ」ことが大切

妊活中の牛乳・乳製品について、

この記事のポイントをまとめます。

 

ポイント

内容

科学的根拠

低脂肪乳製品より全脂肪乳製品の方が排卵障害性不妊と関連しにくいという研究あり

東洋医学の視点

「甘・微寒」の性質をもつ牛乳は、脾虚・冷え体質には不向きな場合も

実践のコツ

全脂肪・温めて・コップ1杯以内が基本。下痢や痰が増えたら見直しを

代替食品

小松菜・豆腐・ごまなどでカルシウムは十分補える

豆乳

適量(200〜400ml/日)なら妊活への悪影響は少なく、むしろ有益な可能性も

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監修・執筆者

不妊専門 漢方鍼灸師

三ツ川レディース漢方鍼灸院

院長 三ツ川 友一郎

【資格】  鍼灸師・柔道整復師・医薬品登録販売者・日本刺絡学会認定鍼灸師 

【学会】(一社)日本はり医学会 理事役員・日本伝統鍼灸学会会員

【役職】大東市鍼灸マッサージ協会 会長(2017年~)

【実績】1995年開業・臨床歴31年・妊娠サポート860名超

【学術発表】医道の日本(専門誌)執筆・第50回日本伝統鍼灸学会学術大会発表

参考文献

1. チャバロ JE, ウィレット WC, スキャリ JE, スタンファー MJ, ハンキンソン SE, コールドリッツ GA, ほか. 乳製品の摂取と排卵性不妊リスク. Hum Reprod. 2007;22(5):1340-7.

2. ガスキンズ AJ, リッチ-エドワーズ JW, ロン A, ソーンダイク AN, ミスマー SA, テリー KL, ほか. 体外受精患者における乳製品摂取と治療アウトカムの関係. Fertil Steril. 2019;112(1):110-8.

3. ハーバーソン CF, ヴァン デル ステーゲ JG, クリステフセン TD, バイ SG, セッレ H, フロム J, ほか. ビタミンD欠乏と生殖補助医療の転帰——システマティックレビューとメタ分析. Hum Reprod Update. 2016;22(1):1-9.

4. リッシュトン A. 女性の生殖能力と食事——栄養の役割. Proc Nutr Soc. 2012;71(2):242-52.

5. フランクリン ST, デイビスME, ブレンタン WC. 乳製品中のエストロゲンと農業管理法. J Dairy Sci. 2013;96(5):2878-8

【免責事項】

本コラムは一般的な情報提供を目的としており、医療行為・診断・治療の代替となるものではありません。個々の症状や体質については、医師・鍼灸師・漢方専門家にご相談ください。食事に関する記載は東洋医学の伝統的知見と公表論文に基づきますが、すべての方に同様の効果を保証するものではありません。本コラムの情報を参考にした行為の結果について、当院は責任を負いかねます。

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