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40代の早発卵巣不全(POI)と漢方鍼灸|卵巣機能の維持と妊活へのアプローチ

〜「もう無理かもしれない」と思う前に。残存卵巣機能を最大限に活かすための体質改善とは〜

はじめに:POIの診断を受けた方へ

 

「早発卵巣不全(POI)と診断されました。40代なのに月経が止まって、もう妊娠は無理なのかと——三ツ川レディース漢方鍼灸院(大東市)に、こうした深い不安と悲しみを持って来院される方がいます。

早発卵巣不全(POIPremature Ovarian Insufficiency)は、40歳未満での卵巣機能低下と定義されますが、40代でAMHが極端に低い・月経が不規則・ホルモン値が閉経に近い状態も同様の問題を抱えています。

三ツ川レディース漢方鍼灸院(大東市)では20年以上・延べ3,000名以上の妊活をサポートしてきました。

日本はり医学会理事・指導講師の院長が、POI・卵巣機能低下に対して鍼灸漢方でできること・できないことを正直にお伝えし、残存卵巣機能を最大限に活かすアプローチを解説します。

早発卵巣不全(POI)とは何か

早発卵巣不全(POI)は、40歳未満の女性に卵巣機能の著しい低下が生じる状態です。

以前は「早発閉経(POFPremature Ovarian Failure)」と呼ばれていましたが、完全な閉経ではなく「不全(Insufficiency)」であり、残存機能がある場合も含むことから、現在はPOIという名称が使われます。

診断基準

内容

年齢

40歳未満(広義では40代前半の極端な卵巣機能低下も同様の問題として対応)

月経の状態

4ヶ月以上の月経停止または著しい不規則

FSH

2回以上の測定でFSH 25mIU/mL以上(閉経前値の上昇)

AMH

極端に低い(多くの場合0.1ng/mL以下または測定限界以下)

症状

のぼせ・ほてり・発汗・不眠・膣乾燥など更年期様症状を伴うことが多い

 

POIの原因

原因分類

具体的な原因

特発性(原因不明)

全体の約7080%。遺伝的要因・自己免疫的要因が関与していることが多い

遺伝的要因

FMR1遺伝子変異(フラジャイルX症候群)・Turner症候群モザイクなど

自己免疫的要因

抗卵巣抗体・甲状腺自己免疫疾患・副腎自己免疫疾患との合併

医原性(治療後)

悪性腫瘍の化学療法・放射線治療後の卵巣機能障害

手術後

チョコレート嚢胞・卵巣嚢腫の手術後の卵巣予備能低下

POIが妊活に与える影響

影響

詳細

自然妊娠の困難

POIでも自然妊娠は不可能ではないが(約510%に自然妊娠の報告)、排卵が極めて不規則・稀であるため非常に困難

体外受精の制約

採卵できる卵子が極めて少ない・または採卵できない周期が多い。採卵結果が著しく不安定

ホルモン環境の悪化

エストロゲン低下による内膜薄化・卵管機能低下・骨盤内血流低下

精神的な消耗

診断そのものが大きな精神的ショック。コルチゾール上昇がさらに卵巣機能を抑制する悪循環

骨・心血管への影響

エストロゲン低下による骨密度低下・脂質代謝異常(妊活とは別の健康問題として対応が必要)

 

POIでも妊娠できることがある】 

POIは「完全閉経」ではなく「不全」です。

 

卵巣機能が完全に失われているわけではなく、断続的に排卵が起きることがあります。

 

当院でもPOIの診断後に体質改善に取り組み、妊娠・出産された方を経験しています。

ただし妊娠の可能性については担当医と正直に話し合うことが重要です。

東洋医学的なPOIの捉え方——腎精の枯渇と天癸の早期減退

東洋医学では、POI・卵巣機能低下という状態を「腎精の早期枯渇」「天癸(てんき)の早期減退」として捉えます。

東洋医学的概念

POI・卵巣機能低下との対応

腎精の早期枯渇

腎精は生殖エネルギーの根源。POIは年齢以上に腎精が消耗した状態。先天的素因+後天的消耗(ストレス・過労・過剰な採卵)が複合

天癸の早期減退

天癸は生殖機能を支える物質的基盤。FSH上昇・AMH低下・月経停止は天癸の減退を示す

腎陰虚(のぼせ・乾燥・口渇)

エストロゲン低下による更年期様症状に対応。体を潤す腎陰が特に不足している状態

腎陽虚(冷え・疲労・腰だるさ)

卵巣機能低下に伴う全身の陽気の低下。骨盤内冷え・血流低下と関連

心腎不交(不眠・不安・動悸)

腎水が心火を制御できない状態。POIに伴う不眠・不安・精神的消耗と対応

 東洋医学的な治療方針:「補腎填精(腎精を補い充実させる)・滋陰降火(腎陰を養い虚熱を収める)・補腎温陽(腎陽を補い体を温める)」を体質に応じて組み合わせます。

鍼灸漢方でできること・できないこと(正直にお伝えします)

できないこと(正直な限界)

 

すでに失われた卵子・卵胞を回復させることはできません

 

AMH値を大幅に上昇させることは保証できません

 

自己免疫性POIの免疫異常を完全に改善することはできません

 

妊娠を保証することはできません

 

できること(残存機能の最大化)

鍼灸漢方でできること

具体的な効果・実績

残存卵巣機能の最大化

補腎の経絡治療・漢方で残っている卵胞が育つ環境を最善にする。FSH上昇を抑制した報告がある

卵巣血流の改善

採卵前の集中経絡治療で卵巣周囲血流が改善。わずかな残存機能を活かす

ホルモン環境の安定化

視床下部-下垂体-卵巣軸への経絡治療でFSHLH分泌リズムの安定を図る

更年期様症状の緩和

腎陰虚の改善でのぼせ・不眠・発汗・膣乾燥などの症状を軽減

精神的消耗の緩和

刺さない経絡治療のリラクゼーション効果でコルチゾール低下・卵巣機能抑制の悪循環を断つ

着床環境の整備

内膜薄化・骨盤内血流低下への補腎・活血治療で着床環境を可能な限り改善

 【院長からの正直なメッセージ】 

POIは鍼灸漢方で必ず改善できるとは言えません。

しかし「残存している機能を最大限に活かす環境を整える」という意味で、鍼灸漢方は重要な選択肢になり得ます。

諦める前に、体の環境を整える取り組みを試していただきたいと思っています。

補腎・活血の具体的な経絡治療アプローチ

補腎填精の経絡治療

ツボ名

場所・効果

腎兪(じんゆ)

腰部・第2腰椎棘突起外側。腎の背部兪穴。腎精を直接補う最重要ツボ

命門(めいもん)

腰部・第2腰椎棘突起。腎陽の根本。卵巣機能・体全体の陽気を補う

太渓(たいけい)

内くるぶし後方。腎の原穴。腎陰・腎陽両方を補う。POI治療の基本ツボ

三陰交(さんいんこう)

内くるぶし上4横指。肝・脾・腎の三経の交会。補腎・補血・活血を同時に

関元(かんげん)

臍下3寸。元気の源。骨盤内の生殖エネルギーを充実させる

 

漢方薬のアプローチ

体質タイプ

代表的な漢方薬・効果

腎陰虚(のぼせ・口渇・乾燥)

六味地黄丸・左帰丸:滋腎陰・填精。腎陰を充実させFSH過剰分泌を抑制

腎陽虚(冷え・疲労・腰だるさ)

八味地黄丸・右帰丸:補腎陽・温裏。骨盤内を温め残存卵巣機能を活性化

腎精不足+気血両虚(全体的な消耗)

亀鹿二仙膠・参馬補腎丸:補腎填精・補気血。最も深い腎精枯渇タイプに

心腎不交(不眠・不安が強い)

天王補心丹・酸棗仁湯:交通心腎・安神。精神的消耗とPOIを同時にケア

腎虚+血瘀(採卵繰り返し後の消耗)

補腎活血の複合処方:腎精回復と骨盤内血流改善を同時に行う

クリニック治療との連携方法

クリニックの治療段階

鍼灸漢方の役割

診断・検査期間

体質診断を受け補腎・滋陰の治療を開始。FSHAMH・抗卵巣抗体の結果と体質を照合

ホルモン補充療法(HRT)中

HRTと並行して補腎・活血の体質改善。HRTの副作用(むくみ・不調)の緩和も

採卵に挑戦する場合

採卵前23ヶ月から週2回の集中経絡治療。わずかな残存機能を最大化

卵子提供・代理懐胎を検討する段階

体質改善で着床環境・内膜受容性を整える。選択肢を広げるための体づくり

妊活を継続するか迷う時期

消耗の程度を体質診断で把握。「今の体の状態」を正直に伝える

 【担当医への報告】 

POIで婦人科治療中の方は鍼灸漢方を受けていることを必ず担当医に報告してください。

特にホルモン補充療法(HRT)中の漢方薬の服用は、担当医と相談のうえで行ってください。 

日常生活でできる卵巣機能維持の取り組み

取り組み

卵巣機能維持への効果

1011時就寝の徹底

腎精消耗の最小化。成長ホルモン・FSH分泌の最大化。POIではこれが最重要の生活習慣

補腎食材を毎日(黒豆・黒ごま・クルミ・山芋・なつめ)

食事から腎精を補う。続けることで卵巣機能の低下速度を緩やかにする可能性がある

毎日の湯船入浴(3840℃15分)

骨盤内血流改善・腎陽の補充。冷えによる卵巣機能抑制を防ぐ

ストレス管理(散歩・お灸・深呼吸)

コルチゾール低下視床下部へのストレス抑制解除残存卵巣機能の活性化

抗酸化食材(アボカド・青魚・ブロッコリー)を毎日

残存卵胞の酸化ダメージを最小化。わずかな卵子の質の環境を守る

甲状腺機能の確認

POIに甲状腺自己免疫疾患が合併することが多い。TSH・抗TPO抗体の検査を担当医に相談

まとめ:POIでも「今できること」に全力を注ぐ

早発卵巣不全(POI)は深刻な診断ですが、「完全閉経」ではなく「不全」です。

残存している卵巣機能を最大限に活かすための体質改善——補腎填精・滋陰・活血・卵巣血流改善——に全力を注ぐことが、鍼灸漢方が提供できる最善のアプローチです。

「今できることに全力を注ぐ」という姿勢が、POIの妊活において最も重要な精神的な軸になります。

三ツ川レディース漢方鍼灸院(大東市)では、初診120分の丁寧な体質診断と刺さない経絡治療・全室個室の環境で、POIの方の体質改善を誠実にサポートします。

大阪市鶴見区・城東区・旭区・東大阪・門真・寝屋川・交野エリアの方はぜひご相談ください。

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早発卵巣不全(POI)の診断を受け体質改善に取り組みたい方

●AMH極低値・FSH高値で残存卵巣機能を最大限に活かしたい方

●補腎填精の経絡治療・漢方処方で卵巣機能を維持したい方

●刺さない経絡治療・全室個室の環境で安心してサポートを受けたい方

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監修・執筆者

不妊専門 漢方鍼灸師

三ツ川レディース漢方鍼灸院

院長 三ツ川 友一郎

【資格】  鍼灸師・柔道整復師・医薬品登録販売者・日本刺絡学会認定鍼灸師 

【学会】(一社)日本はり医学会 理事役員・日本伝統鍼灸学会会員

【役職】大東市鍼灸マッサージ協会 会長(2017年~)

【実績】1995年開業・臨床歴31年・妊娠サポート860名超

【学術発表】医道の日本(専門誌)執筆・第50回日本伝統鍼灸学会学術大会発表

参考文献

【現代医学文献】

 

1. Webber L, et al. ESHRE Guideline: management of women with premature ovarian insufficiency. Hum Reprod. 2016;31(5):926-937.

 

2. Nelson LM. Clinical practice. Primary ovarian insufficiency. N Engl J Med. 2009;360(6):606-614.

 

3. Golezar S, et al. The global prevalence of primary ovarian insufficiency and early menopause: a meta-analysis. Climacteric. 2019;22(4):403-411.

 

4. Panay N, et al. Premature ovarian insufficiency: an International Menopause Society White Paper. Climacteric. 2020;23(5):426-446.

 

5. Stener-Victorin E, et al. Acupuncture in polycystic ovary syndrome: current experimental and clinical evidence. J Neuroendocrinol. 2008;20(3):290-298.

 

6. Liao HY, et al. Effect of acupuncture on infertile women with premature ovarian insufficiency: a systematic review. Evid Based Complement Alternat Med. 2019;2019:4842404.

 

7. Zhang J, et al. Effects of Chinese herbal medicine on premature ovarian failure in women of reproductive age. Menopause. 2016;23(2):184-191.

 

【東洋医学古典】

 

・黄帝内経 素問(上古天真論篇)——「女子七歳……七七任脈虚,太衝脈衰少,天癸竭,地道不通,故形壊而无子也」:天癸の枯渇による閉経・不妊のメカニズム。POIは天癸の早期減退として理解される(紀元前2世紀〜紀元後2世紀)

 

・景岳全書(張介賓著、1624年)——婦人規:「経水早断」(月経の早期停止)の原因として腎虚・血虚を挙げ、補腎填精・滋血養陰の治療方針を記載

 

・傅青主女科(傅山著、17世紀)——年未老経水断篇:「非老断経也,乃血損而断也」:早期の月経停止は老化ではなく腎精・血の消耗によるものという治療観点

 【免責事項】 本コラムは医療行為の代替を目的とするものではありません。早発卵巣不全(POI)の診断・治療については必ず担当医にご相談ください。

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