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生理前のイライラ・PMS改善|漢方鍼灸で気滞・肝気鬱結を整える

〜「生理前だけ辛い」は体からのサイン。PMSを整えることが妊活の土台になる〜

はじめに:PMSは「我慢するもの」ではない

 

「生理前になるとイライラが止まらなくて、家族に当たってしまう」「生理前の2週間は別人みたいに落ち込む」「乳房が張って頭痛がひどい」——三ツ川レディース漢方鍼灸院(大東市)でよくいただく訴えです。

PMS(月経前症候群)は「生理前だから仕方ない」「性格の問題」と思われがちですが、東洋医学的には体質的な問題として明確に改善できるものです。

そして妊活においてPMSは「ホルモン分泌リズムの乱れ」のサインであり、放置すると排卵・着床・妊娠継続に影響します。

三ツ川レディース漢方鍼灸院(大東市)では20年以上・延べ3,000名以上の妊活をサポートしてきました。

PMSと妊活の関係・東洋医学的な原因と改善法をこのコラムで詳しくお伝えします。

PMSが妊活に与える影響

PMSは単なる「生理前の不調」ではなく、妊活に直接影響するホルモン環境の問題を反映しています。

PMSの症状

妊活への影響

イライラ・不安・落ち込み(精神症状)

コルチゾール過剰分泌→LHFSH分泌リズムの乱れ排卵障害・黄体機能不全

乳房の張り・痛み

プロラクチン過剰・プロゲステロン相対的不足のサイン着床障害のリスク

頭痛・むくみ

エストロゲン過剰・プロゲステロン不足内膜環境の乱れ着床不全

生理前の強い腹痛・腰痛

気滞血瘀の悪化骨盤内血流の低下卵子の質・内膜受容性への影響

食欲増進・過食

血糖値の乱れインスリン過剰ホルモンバランスの悪化

 PMSの重症度と不妊の関係】 

PMSが重いほど「肝気鬱結(ストレスによる気の滞り)」が強く、ホルモン分泌リズムへの影響が大きい傾向があります。

当院では「PMSが改善してから妊娠できた」という方を多く経験しています。PMSの改善は妊活の重要な一歩です。

東洋医学的なPMSの原因——気滞・肝気鬱結とは

東洋医学では、PMSの核心的な原因を「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と捉えます。

 

【肝気鬱結とは】

東洋医学の「肝(かん)」は、気(エネルギー)の流れを調節し・血を蓄え・感情をコントロールする機能を担います。

ストレス・怒り・抑圧された感情・過労・睡眠不足などが「肝」の機能を乱し、気の流れが滞った状態を「肝気鬱結」または「気滞(きたい)」といいます。

月経前は黄体ホルモン(プロゲステロン)が高まり・エストロゲンが変動する時期で、この生理的なホルモン変動が肝気鬱結を持つ方の気の滞りを一気に顕在化させます。

これがPMSのメカニズムです。

肝気鬱結の原因

現代生活との対応

慢性的なストレス

仕事・妊活・人間関係のプレッシャー。長期化すると肝気が恒常的に鬱結する

怒り・抑圧された感情

感情を抑えることで気の流れが詰まる。「怒りは肝を傷める」

睡眠不足・夜更かし

夜は肝血を養う時間。夜更かしが肝血不足肝気鬱結を悪化させる

過剰な思慮・心配

「思慮は脾を傷め・脾虚から肝への影響」:過度な心配が間接的に肝を乱す

食事の乱れ(脂っこい食事・アルコール)

肝への負担増大。肝の疏泄(気の流れを調節する機能)を妨げる

 

肝気鬱結がホルモン分泌に与える影響(現代医学との対応)

東洋医学的な「肝気鬱結気の流れの停滞」は、現代医学的には「視床下部-下垂体系のストレス応答コルチゾール過剰→GnRHパルス分泌の乱れ→LHFSH・プロゲステロン分泌の異常」として説明できます。

東洋医学

現代医学的対応

肝気鬱結(気の滞り)

ストレス→HPA軸活性化コルチゾール過剰

疏泄機能の低下

GnRHパルス分泌の乱れ→LHFSH分泌リズムの異常

肝血不足(血が肝を養えない)

エストロゲン・プロゲステロンのバランス乱れ

気滞血瘀

ストレスによる血管収縮骨盤内血流低下

疏肝理気(気を流す)治療

自律神経調整→HPA軸正常化ホルモン分泌リズムの回復

PMSの体質タイプ別診断

PMSの東洋医学的な体質タイプは「肝気鬱結」が基本ですが、複合する体質によって症状と治療が異なります。

体質タイプ

主な症状

特徴的なサイン

肝気鬱結(標準型)

イライラ・乳房の張り・胸苦しさ・ため息が多い・腹部の張り

生理前2週間から症状が始まり、生理が来ると楽になる

肝気鬱結+肝血虚

イライラ+強い落ち込み・不安・眠れない・目が疲れやすい・爪が薄い

血が不足して肝を養えない複合タイプ。補血が必要

肝気鬱結+気滞血瘀

生理前の強い腹痛・頭痛・肩こり・生理に血塊が多い

気滞が血瘀を引き起こしている。活血も必要

肝火上炎(肝気鬱結の熱化)

激しいイライラ・怒りっぽい・顔が赤くなる・口が苦い・眠れない

鬱結した気が熱に変わった状態。清肝が必要

肝気鬱結+脾虚

イライラ+食欲の変化・腹部膨満・消化不良・むくみ

気滞が脾を傷めた複合タイプ。疏肝+補脾が必要

経絡治療の具体的なアプローチ

疏肝理気の経絡治療(気の流れを整える)

ツボ名

場所・効果

太衝(たいしょう)

足の甲・第12趾間の後方。肝経の原穴。肝気鬱結解消の最重要ツボ。イライラ・生理痛に

期門(きもん)

胸部・乳頭下・第6肋間。肝の募穴。乳房の張り・胸苦しさ・ため息に特効

内関(ないかん)

手首内側・2寸上。心包経。精神症状(不安・動悸・吐き気)の緩和に

膻中(だんちゅう)

胸部中央・乳頭間。気の海。乳房の張り・胸苦しさ・気の流れを整える

三陰交(さんいんこう)

内くるぶし上4横指。肝・脾・腎の交会。PMSの精神・身体症状の両方に対応

合谷(ごうこく)

手の甲・第12中手骨間。全身の気の流れを整え頭痛・肩こりに

 

補血・滋陰の経絡治療(肝血を養う)

肝血虚を伴うタイプ(落ち込み・不安が強い・爪が薄い)には補血の経絡治療を組み合わせます。

膈兪(かくゆ)・血海(けっかい):補血の要穴。肝血を充実させイライラの根本を改善

●脾兪(ひゆ)・足三里:脾の機能を高め気血の生成を促進

 

漢方薬のアプローチ

体質タイプ

代表的な漢方薬

主な効果

肝気鬱結(標準型)

加味逍遥散(かみしょうようさん)

疏肝理気・補血・清熱。PMS治療の最頻用処方。イライラ・乳房の張り・不定愁訴に

肝気鬱結+強い落ち込み

逍遥散・柴胡疎肝散

疏肝解鬱。落ち込み・意欲低下が強いタイプに

肝気鬱結+血瘀(生理痛・血塊)

加味逍遥散+桂枝茯苓丸

疏肝+活血化瘀。生理痛を伴うPMS

肝火上炎(激しいイライラ・顔が赤い)

竜胆瀉肝湯・黄連解毒湯

清肝瀉火。熱化したPMSに。加味逍遥散より清熱力が強い

肝気鬱結+脾虚(むくみ・消化不良)

加味逍遥散+六君子湯

疏肝+補脾。PMSとむくみ・消化器症状の複合に

食養生・生活習慣での改善法

疏肝に良い食材(気の流れを整える)

食材

効果・摂り方

セロリ・三つ葉・香菜(パクチー)

香り成分が肝気の疏泄を促進。毎日の薬味・スープに

柑橘類(みかん・ゆず・レモン)

理気作用。酸味+香りが肝気を流す。生理前に特に意識して

なつめ・クコの実

補血・安神。肝血不足+肝気鬱結の複合タイプに。毎日のなつめ茶で

ジャスミン茶・ローズティー

理気・安神。香りが肝気を動かす。生理前2週間に

菊花茶

清肝明目。肝火上炎(激しいイライラ)タイプに。のぼせを鎮める

 

PMSを悪化させる食材・習慣(避けること)

 

カフェイン(コーヒー・紅茶)の過剰摂取:交感神経を刺激し肝気鬱結を悪化させる

 

アルコール:「肝を傷める」食材。PMSの時期は特に避ける

 

脂っこい食事・揚げ物:肝への負担増大。湿熱を生み肝気鬱結を悪化

 

過剰な甘いもの:血糖値スパイクコルチゾール肝気鬱結の悪化

 

夜更かし:「肝血を養う時間」の損失。11時前就寝が必須

 

生活習慣の改善

習慣

肝気鬱結への効果

有酸素運動(ウォーキング・ヨガ)週34

「動くことで気が動く」。肝気の疏泄を促進。PMSの精神症状の軽減に有効

深呼吸・腹式呼吸(毎日10回)

副交感神経優位化コルチゾール低下肝気鬱結の緩和

感情を安全に発散する(日記・話す)

抑圧した感情が肝気鬱結の最大の原因。感情の出口を作る

11時前就寝

肝は夜11時〜深夜3時に肝血を養う。この時間の睡眠が肝血充実の最重要条件

生理周期の記録(基礎体温・症状)

PMSの出現パターンを把握し、体質改善の効果を確認する

まとめ:PMSの改善が妊活の土台を整える

PMS(月経前症候群)は「肝気鬱結」という体質的な問題の現れです。

イライラ・落ち込み・乳房の張り・頭痛——これらはすべて気の滞りが引き起こすホルモン環境の乱れのサインです。

PMSを改善することで、ホルモン分泌リズムが安定し・排卵環境が改善し・黄体機能が回復し・着床環境が整います。「生理前だから仕方ない」と諦めることなく、体質改善に取り組んでください。

三ツ川レディース漢方鍼灸院(大東市)では、初診120分の体質診断(脈診・舌診・腹診・問診)でPMSの体質タイプを特定し、刺さない経絡治療・漢方処方・食養生指導で改善をサポートします。

大阪市鶴見区・城東区・旭区・東大阪・門真・寝屋川・交野エリアの方はぜひご相談ください。

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監修・執筆者

不妊専門 漢方鍼灸師

三ツ川レディース漢方鍼灸院

院長 三ツ川 友一郎

【資格】  鍼灸師・柔道整復師・医薬品登録販売者・日本刺絡学会認定鍼灸師 

【学会】(一社)日本はり医学会 理事役員・日本伝統鍼灸学会会員

【役職】大東市鍼灸マッサージ協会 会長(2017年~)

【実績】1995年開業・臨床歴31年・妊娠サポート860名超

【学術発表】医道の日本(専門誌)執筆・第50回日本伝統鍼灸学会学術大会発表

参考文献

【現代医学] 

 

1. ビオルディWE、他. 月経前症候群の診断・治療に関するアメリカ産婦人科学会(ACOG)委員会意見. オブステトリクス&ガイネコロジー. 2014;123(5):1-16.

 

2. ヨンカーズKA、他. 月経前不快気分障害(PMDD)の診断・治療. ランセット. 2008;371(9619):1200-1210.

 

3. チャバロJE、他. ビタミンD・カルシウムの摂取とPMS発症リスクの関係. アーカイブズ・オブ・インターナル・メディシン. 2005;165(11):1246-1252.

 

4. マブードJA、他. 月経前症候群に対する鍼灸治療のシステマティックレビュー. マタリタス. 2015;82(4):358-364.

 

5. ロバーツH、他. 月経前症候群に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI):コクランレビュー. ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ジェネラル・プラクティス. 2011;61(590):578-579.

 

6. フリーマンEW、他. 月経前症候群・月経前不快気分障害の疫学と病態生理. CNSドラッグス. 2012;26(7):565-577.

 

7. オオタニM、他. 加味逍遥散の月経前症候群に対する臨床効果:ランダム化比較試験. 産婦人科漢方研究のあゆみ. 2016;33:58-63.

 

【東洋医学古典】

 

・黄帝内経 素問(陰陽応象大論篇)——「怒傷肝」:怒りは肝を傷める。肝気鬱結とPMSの感情的原因の古典的根拠(紀元前2世紀〜紀元後2世紀)

 

・傅青主女科(傅山著、17世紀)——経前腹痛吐血:「経前腹痛者、肝気鬱也」:生理前の腹痛・不調は肝気鬱結によるという診断原則

 

・万氏女科(万全著、1549年)——「女子以血為主、其血上応太陰怒気伤肝,则气逆而血乱」:女性は血を主とし、怒り(肝気鬱結)が気血を乱すというPMS・月経不順の病機

 【免責事項】 本コラムは医療行為の代替を目的とするものではありません。PMS・月経前症候群の診断・治療については必ず担当医・専門家にご相談ください。

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