15-5.子宮ポリープを改善する効果が期待できる漢方薬

不妊の原因は様々ですが、器質的な原因として考えられているのが「子宮ポリープ」です。

子宮ポリープを改善し、妊娠しやすい身体づくりをするためには養生だけでなく漢方薬も併用していただくとより効果的です。

そこで今回は子宮ポリープを改善する効果が期待できる漢方薬をご紹介していきたいと思います。

東洋医学では主に「血虚や瘀血」によるものだと考えられており、

• 血虚⇒身体の構成要素と考えられている気血水の血が不足している
• 瘀血⇒全身の血流が悪くなって古い血液が体内に溜まっている

状態をそれぞれ示します。

これらにより、子宮内の血流が悪くなると子宮ポリープなどの婦人科疾患につながる恐れがあります。

子宮ポリープがあると妊娠できないわけではありませんが、血虚や瘀血は子宮に十分な血液や栄養を行き届けにくい状態になるため不妊の原因の一つになるといわれています。

※そのほか、詳しい子宮ポリープの原因などについては記載したコラムがございますのでぜひあわせてご覧ください。

子宮ポリープには漢方薬も効果的で改善するには

• 血虚⇒不足した血液を補う「補血剤」
• 瘀血⇒血流を良くし、瘀血を取り除く「駆瘀血剤」

などの効果が期待できる漢方薬を使用します。

当院でよく処方しているのは

1. 婦人宝
2. 加味逍遙散
3. 桂枝茯苓丸
4. 芎帰調血飲第一加減

の4種類です。

それぞれ詳しく解説していきます。

婦人宝は「補血剤」の代表的な漢方薬で

• 月経不順や月経痛
• 冷え性
• 肩こり
• 頭痛やめまい

などの「貧血症状」によく当院では使用しています。

婦人宝の特徴としては不足した血を補い、血液循環を促進する

• 当帰（トウキ）
• 阿膠（アキョウ）
• 芍薬（シャクヤク）

が含まれており、なかでも婦人宝の特徴であるのが「阿膠」です。

阿膠とはロバの皮やじん帯などに含まれている結合組織内のコラーゲンを加熱することでできるゼラチンの塊をいいます。

当帰と阿膠を組み合わせることで補血の効果を高めます。

そのほかにも補助的な生薬として血の巡りを良くする「川芎（センキュウ）や茯苓（ブクリョウ）

」​なども含まれていることから血虚による子宮ポリープを改善する効果が期待できます。

加味逍遙散は婦人科三大漢方薬の一つで血液の不足や自律神経の乱れによる血行不良を改善する漢方薬で

• イライラや不安感（特に月経前）
• のぼせ
• 不眠
• 冷え

など血液不足によって起こる「精神神経症状」が目立つ方によく使用されます。

加味逍遙散には自律神経（ホルモンバランス）を整える

• 柴胡（サイコ）
• 薄荷（ハッカ）

が含まれているのが特徴で

• 当帰（トウキ）
• 芍薬（シャクヤク）

で不足している血を補充し、血流を改善します。

さらに胃腸の働きを整え、消化吸収を促す生薬や自律神経系の興奮を抑える生薬を組み合わせることで血虚による瘀血の子宮ポリープを改善する効果が期待できます。

桂枝茯苓丸は血流を良くし、瘀血を取り除くの代表的な漢方薬で

• 月経不順や更年期障害など女性特有の症状
• 手足の冷え
• 肩こりを伴った頭痛
• 肌荒れ
• のぼせで顔が赤くなる

​などの症状が伴う子宮ポリープに使用されることが多いです。

桂枝茯苓丸には血行を促す

• 桂皮（ケイヒ）
• 牡丹皮（ボタンピ）
• 芍薬（シャクヤク）

​などの生薬が含まれているのが特徴的で古くなった瘀血を取り除く桃仁（トウニン）を合わさることで全身の血流を良くします。

さらに桂枝茯苓丸の名前の通り「茯苓（ブクリョウ）」が含まれているのも特徴で全身の水分代謝を改善することでより瘀血による子宮ポリープを改善する効果が期待できます。

芎帰調血飲第一加減は血流を良くするだけでなく、不足した血液を補充する効果も期待できる漢方薬で

• 産後の不調（体力低下や神経症）
• 血の道症（月経不順や更年期障害など）
• イライラ
• 手足の冷え
• 疲れやすい

などの症状がある子宮ポリープに使用することが多いです。

補血をしながら月経を整える代表的な漢方薬である「四物湯」にも含まれている

• 当帰（トウキ）
• 川芎（センキュウ）
• 芍薬（シャクヤク）
• 地黄（ジオウ）

をベースに血行を促進する

• 桃仁（トウニン）
• 紅花（コウカ）

が含まれているのが特徴です。

さらに身体のエネルギー循環をよくする生薬や胃腸を整え、身体を温める生薬なども含まれており、これらが合わさることで瘀血を取り除き子宮ポリープを改善の効果が期待できます。

今回は子宮ポリープを改善する効果が期待できる漢方薬についてご紹介しましたが、妊娠に至るために大切なのは「心身ともに健康」であることです。

そのため漢方薬だけでなく、日頃の養生などもとても重要になってきますのであくまでも漢方薬は妊娠しやすい身体づくりの一環としてお考え下さい。

また漢方薬は体質にあったものを服用する必要があり、万が一

体質に合っていないものを服用し続けると下痢などの副作用が出る場合がございますので、自己判断は避けお近くの東洋医学者にご相談ください。

※当院では鍼灸施術だけでなく、体質に合わせた漢方薬の処方もおこなっておりますので、お心当たりのある方はぜひ一度当院にご相談ください。