妊娠が可能なのは何歳まで?年齢によって不妊治療を諦める前にできること - 大阪の不妊漢方鍼灸院三ツ川レディース

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2022年11月8日

妊娠が可能なのは何歳まで?年齢によって不妊治療を諦める前にできること

「赤ちゃんはほしい、でも今すぐには無理……」
そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

さまざまなライフスタイルが存在する現在では、結婚の時期や夫婦の働き方の問題で子どもを産む年齢が遅くなってしまうことも多いでしょう。

ところが、女性の体が子どもを産むことができる「妊娠適齢期」は、実はある程度決まってしまっているのです。

今回は何歳になったら妊娠を諦めなければいけないのかをはじめ、高齢出産のリスクや年齢によって妊娠を諦める前にできることについてご紹介していきます。

妊娠が可能な年齢はいつまで?

なかなか赤ちゃんを授かるチャンスがない時、あなたなら何歳で妊娠を諦めようという考えが頭に浮かんできますか?

1ヶ月の間に自然妊娠する確率は以下の通りです。

25歳:25%~30%
30歳:25%~30%
35歳:18%
40歳:5%
45歳:1%
(※M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition よりデータ引用)

卵子を凍結保管しておき、後に融解してから受精卵にし子宮に戻すという体外受精の場合、妊娠する確率は以下の通りです。

30歳以下 ・・・45%程度
31~34歳・・・35%程度
35~37歳・・・30%程度
38~39歳・・・20%程度
40歳以上 ・・・15%以下

 

高齢出産の年齢とリスク

40代で初めて赤ちゃんを産んだお母さんも、実際にいらっしゃいます。
しかし、高齢出産によるリスクは存在しています。

体の仕組みとして35歳をすぎると流産したり、生まれてくる子供がダウン症候群になってしまったりするなどのリスクが上がることは事実なのです。

これは、月経の度に卵子が成熟する過程の中で染色体をコピーする際にミスが起きてしまうことで起こります。このミスの度合いが、年齢によって高くなってしまうのです。

そのため、母子ともに無事に出産することができるまでにも困難が増えてくることも多い人考えられます。

高齢出産のリスクは、母体だけではないのです。

年齢とともに妊娠確率が下がる4つの理由

何歳までに不妊治療をはじめれば妊娠できるのかについては、正直誰にもわかりません。ただし、不妊治療をした方の累積妊娠率(最終的に治療者のどのくらいの人が妊娠・出産できるのか)から算出した、不妊治療のはじめ時の参考データをお示しすることはできます。

・子供1人はどうしても欲しい場合、自然妊娠であれば32歳まで
・子供2人欲しい場合、自然妊娠であれば35歳まで
・体外受精であれば36歳からはじめても授かる可能性は高い
※元国立生育医療研究センター 現梅が丘産婦人科ARTセンター長の齊藤英和先生が発表された論文をもとに簡略化しています

どんなに健康であっても、年齢による妊娠能力の衰えには誰も勝てません。
不妊治療にとって大きな障壁となるのです。

1 女性ホルモンの減少

妊娠、出産、そして授乳にはホルモンが大きく関係しています。不妊というのもホルモンが大きな原因だと考えられています。

2 母体の既往症リスクの増加

これは高齢になるにつれ増加する傾向にあります。

これは高齢になるにつれ増加する傾向にあります。

3 卵子の老化(数の減少、質の低下)

下記でより詳しく説明しますが、女性の卵子は生まれる前に一度卵巣で作られるだけで新しくなることはありません。つまり、男性が精子の元である細胞を体内で増やし新しい精子を作ることができるのと違って、女性は自身の年齢=卵子の年齢なのです。

卵子の老化が進むと”卵子の質が低下“し、”排卵障害や着床障害“などの原因になることがあります。また、年齢を重ねた卵子では染色体のコピーにミスが生じやすくなり、その結果として流産や染色体異常の可能性が高まってしまうのです。

4 母体の高年齢は流産や早産のリスクを高める 

妊娠すれば安心かといわれればそうではないのです。これは、「妊娠 = 出産」ではないからです。

受精卵は子宮内膜と接着し妊娠がスタートし、この現象を着床といいます。36~37歳においては着書率は21%、38~39歳では11.6%、40歳以上では6.5%と顕著に低下したという報告があります。

つまり、高齢出産の場合、妊娠しても出産までの間に流産や早産をする可能性を秘めているということなのです。

早産とは妊娠22週から妊娠36週6日までの出産のこと。赤ちゃんが小さく生まれるので、新生児医療が必要になるケースがあります。死産の確率については高年齢で高くなると言われますが、「差がない」とのデータもあります。

不妊治療を諦める年齢の目安は40~45歳

医学はとても進歩して、体外受精や顕微授精という高度生殖医療も進み、出産までのプロセスでの危険を防ぐ医療も進化しています。その一方で、勘違いと錯覚のために、みすみす赤ちゃんをもつチャンスを逃している人が増えています。

生理があるうちは妊娠できると思っている人が多いですが、実は生理があがる(閉経する)約10年前から妊娠はほとんどできないのです。

現在平均51歳で閉経しますが、42〜43歳が一般的な自然妊娠の限界です。

40代の妊娠率は

実年齢と体内年齢(健康具合や卵巣の力)は人それぞれで、卵巣機能(卵子の成熟や排卵)に問題がなくほかに重篤な不妊要因がない限りは、可能性が低くても45歳でも妊娠は可能です。

しかし、統計的には43歳を過ぎたあたりから、たとえ妊娠できたとしても、出産まで至ることが極めて困難になります。脅かすような表現で心苦しいですが、事実として受け止めねばなりません。

ちなみに、男性は女性ほど年齢の影響は大きくありませんが、男性も35歳を超えると妊娠率がおちてくるという報告もあります。

よって不妊治療自体もいつまでも行い効果が出せるものではありません。
年齢という壁にはどのように頑張っても難しいといえるでしょう。

不妊治療の対象となる年齢は治療開始の時点で女性が43歳未満

高齢出産を希望する場合、通院日数が多くなり、排卵誘発剤やホルモン剤などの内服薬・注射類、高度医療(体外受精・顕微授精)の頻度は増え費用も高額になります。

不妊治療の助成金制度とは、それらの不妊治療を受ける際に治療費の一部を自治体が負担する制度のことです。

しかし、こちらの不妊治療助成金の対象年齢は「42歳まで」という年齢制限があるのです。

もちろん不妊治療自体は対象年齢を過ぎても受けることが可能ですが、助成金の需給を受けることが出来なくなることで、自己負担金が高くなってしまいます。

年齢を重ねてからやっぱり不妊治療をしておけばよかったと思っても、非常に悲しいことではありますが、実に多くの困難が待ち受けているのです。

年齢によって不妊治療を諦める前にできること

リスクを聞くと不安になってしまう方も多いでしょう。しかし、妊娠を諦める前に出来ることはあります。

不妊治療の基本は妊娠しない原因を取り除くこと。
年齢が上がることによるリスクがあるのは事実ですが、不妊についての原因の多くは年齢そのものではなく、ホルモンバランスによるものだと考えられています。

まだ結婚していない、仕事が忙しいなどの理由で今すぐに妊娠希望や予定がなくても、いつか妊娠したいと思っている人は、いまから生活に気を付けることが大切です。

妊娠率が高い治療に早めに進む

高齢では不妊の原因を取り除くことよりも、現在の状態でいかに妊娠するかが大切です。
不妊治療は原因を治療する医療ではなく、妊娠するための方法を選択する医療です。つまり、どの医療を選択するのかによって期待できる妊娠率が異なるということです。

女性の年齢や精子の状態に応じて、妊娠の結果が出ない場合は、早めに確立が高い治療に進みましょう。具体的には、体外受精、顕微授精といった手段があります。

受精卵を凍結保存しておく

月に一度排出される卵子の数というのは、生まれる前の胎児の時から約200万個であり、その上限が決まっています。

上限の200万個から年齢と共に減少していき、月経が始まる頃にはその数が約30〜50万個になります。1回の月経周期につき約1,000個ずつ減少していくため、35歳頃には約2万個になります。

この辺りから急激に減少し、残りが1,000個ほどになった時閉経してしまいます。

そのため、あらかじめ卵子を凍結保存しておくことをおすすめしたいのです。凍結した卵子は本人の意向によっては満50歳の誕生日まで保管することができますので、不妊治療のトライ期間に余裕ができることになります。

ただし、赤ちゃんを産むお母さんの体の安全を考慮した上で専門医が実施の可否を判断することになりますから、50歳まで確実に体外受精が行えるわけではないのは注意してください。

身体を冷やさない
低体温の傾向がある場合は”冷え“などの症状がみられるため、”全身の血流が悪くなる“原因になります。それにより、子宮や卵巣内の血流も悪くなってしまうと、十分な血液や栄養が行き届かず”排卵障害や流産“などの原因になることがあります。

主に身体の熱をつくるのは“筋肉”のため、適度に運動し筋肉を動かすことで、冷えや血流改善の効果が期待できます。さらに受精・胚分割・着床に作用するミトコンドリアの働きが正常化されますので、38-40 度の湯船につかったり、温かい飲み物を飲んだりして身体を冷やさないようにしましょう。

肥満を予防し体重をコントロールする

肥満気味の方は排卵が起こらなくなる「多嚢胞性卵巣」を起こしやすくなります。痩せすぎの方は栄養不足・エネルギー不足に陥ると、脳は命に関わる臓器のほうを優先して働かせようとするので、卵巣の機能を停止させ、その結果排卵が止まってしまうことがあります。

また、無理なダイエットによるやせすぎや極度の太りすぎは、妊娠に関係するホルモンに影響すると言われています。BMIを参考に適切な体重管理をしましょう。

足りない成分をサプリメントや医薬品で補う
妊娠初期の胎児の発育に大切な栄養素である「葉酸」は、妊娠前から積極的に摂りたい要素です。厚生労働省では妊娠を希望する女性は食事での摂取に加えて、1日400µgのサプリメントでの葉酸の摂取を推進しています。

レスベラトロール 卵胞の発育を改善し細胞膜を安定させる
ビタミンD 卵の成熟を促進する作用
ヒシエキス 糖化による老化を抑える作用(抗糖化)があり、これがAGE(終末糖化産物)を低下させ卵子の質を改善
DHA 正常な形態の精子を作るために必要。
メラトニン 酸化ストレスを軽減させる抗酸化作用がある・卵を保護し質を改善させる
(男性におすすめ)亜鉛 摂取することで精子所見の改善が見込める

規則正しい睡眠

女性の場合はストレスにより“排卵障害や着床障害”を引き起こす可能性があるといわれています。また、男性の場合はストレスにより“精子の質が低下”してしまうことがあります。

脳下垂体から分泌されるFSHやLHは“排卵や卵胞の発育”に関与するホルモンのため、ストレスにより視床下部からの指令が滞ってしまうと排卵や卵胞の発育がうまくいかなくなり、“排卵障害”などを引き起こすことがあるのです。

夜更かしや睡眠時間が短い、起床時間がバラバラなど不規則な生活は自律神経が乱れる原因になります。

自律神経を整えるためには、7〜8時間の睡眠が理想的です。
難しい場合は夜更かしなどはせずに、できるだけ早く寝るように心がけましょう。

まとめ

不妊治療は高齢な方だけのものではありません。
体外受精の技術の進歩により、個人差はありますが、高齢でも妊娠できる可能性はあります。しかし、治療自体が遅くなればなるほど不利になるといえます。

自分が妊娠しやすい、妊娠しにくいかどうかは実際に妊活しないとわかりません。その時のパートナーとの相性にも大きく左右されますが、一度婦人科や不妊治療専門のクリニックに行き、ブライダルチェックなどの検査をする事をおすすめします。

最近、卵巣の予備能の指標であるAMH(アンチミューラリアンホルモン)が測れるようになり、自分の卵巣予備能が分かるようになってきました。自分自身の生殖年齢や妊娠適齢期をAMHを測ることにより、悔いのない幸せな家族形成と女性の人生設計に役立ててくださいね。