不妊治療休暇とは? - 大阪の不妊漢方鍼灸院三ツ川レディース

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2022年9月13日

不妊治療休暇とは?

不妊治療を検討している、実際に行っているという働く女性は年々増加しています。しかし、仕事と不妊治療の両立に悩む人が多く、仕事を辞めざるを得なくなってしまうケースも少なくないようです。

 

近年、「不妊治療休暇」の制度を導入している企業が増えています。本記事では、不妊治療休暇について詳しく解説します。

 

不妊治療休暇とは?

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「不妊治療休暇」は、その名の通り不妊治療によって仕事を休まざるを得ないときに利用できる休暇制度です。

 

不妊治療休暇にはいろいろな利用方法があるほか、支援内容も企業によって個性があります。

 

 

不妊治療のために離職する人が増えている

不妊治療は、特に女性にさまざまな負担がかかりやすいです。通院に時間がかかるために勤務時間にかかってしまう、検査や治療が身体的に辛く、出社できない日もあります。仕事に穴を空けてしまうことが続いて気まずくなった、不妊治療に思い切り励めないという理由から、離職をする人が増えています。

 

正社員ならまだしも、派遣社員や契約社員などの非正規雇用の場合、遅刻早退や欠勤が増えることで、契約更新をしてもらえないケースもあるそうです。不妊治療と仕事の両立ができないために自分から離職するならまだしも、働きたいのに働くことが許されないのはとても辛いこと。不妊治療には多額の費用がかかる場合も少なくないのに、治療費用を捻出するために働くことができないのは本末転倒です。

 

そこで厚生労働省が「不妊治療を受けながら安心して働き続けられる職場環境の整備」を整えるべく、不妊治療休暇の制度導入の推進に踏み出しました。

 

 

仕事と不妊治療の両立を目指せる制度

不妊治療休暇では、主に以下の休暇取得や勤務方法を利用することができます。

  • 半日又は時間単位の年次有給休暇
  • 所定外労働の制限制度
  • 時差出勤制度
  • フレックスタイム制
  • 短時間勤務制度
  • テレワーク

企業が不妊治療休暇制度を導入する上で、これらすべての制度を利用できるようにしなければいけないということはありません。そのため、すべての制度を導入している企業もあれば、一部のみ導入している企業もあります。

 

いずれかの制度を利用できるように社内環境を整えることで、厚生労働省から認定企業として認められます。

 

 

中小企業には不妊治療休暇制度導入に助成金を支給

中小企業が不妊治療休暇制度を導入し、厚生労働省から認定企業として認められると、最大57万円を支給する両立支援等助成金が支給されます。

 

助成金申請は、まず社長など企業のトップが不妊治療休暇制度の概要と導入を全社員に周知します。次に、利用開始日の前日までにどのような支援が必要かの調査を行い、就業規則を制定します。その後担当者を決め、支援プランを作成して制度導入を行います。

 

不妊治療休暇制度導入後に、社員が制度を利用したら、所定の方式に基づいて申請をするという流れです。

 

 

不妊治療と仕事の両立は難しい?

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不妊治療と仕事の両立を難しいと感じている人は多いです。実際には、どのような部分に難しさを感じているのでしょうか?

 

治療が本格化するほど時間的な両立が難しくなる

特に女性の場合、不妊治療が本格化してくると、通院回数が多くなります。体外受精や検査など、月の通院回数が5〜10回に上ることも少なくありません。さらに、1回の診察時間は、待ち時間を含めると1〜3時間に及び、不妊治療に必要なすべてのスケジュールを仕事が休みの日にすべて賄うのは無理があります。そこで不妊治療と仕事を両立することは難しいと感じてしまいます。

 

不妊治療は予約制を採用している病院がほとんどですが、診察や治療、検査の時間が押してしまうことが多いです。1人あたり10分時間が押した場合、10人いたら11番目の人は1時間40分も待たなければなりません。そこから自分の診察を行い、予定よりも時間がかかってしまうと何時間も病院にいなければならなくなってしまいます。

 

「通院のため午後出社にしてほしい」と届けていたとしても、病院の時間が押して出社が午後に間に合わないとなると、周囲から冷ややかな目で見られかねません。治療を進める中で遅刻や早退、欠勤が増えることによって、仕事と不妊治療の両立ができない歯がゆさや苦しさから、離職を選ぶ人が増えてしまうのもうなずけます。

 

上司や同僚から嫌がらせを受ける

不妊治療で遅刻早退、欠勤が続くことで、上司に嫌味を言われる、同僚から陰口を叩かれるなどの嫌がらせを受ける人もいます。ライフイベントの影響で嫌がらせを受けるのは、不妊治療に限ったことではありません。

 

妊娠中悪阻がひどくて出社が難しい人や、産後子どもが熱を出して保育園や託児所からのお迎えコールにより早退せざるを得ない人が、上司や同僚から嫌がらせを受けたという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

不妊治療のために休暇を取ると、毎日出社している人に業務のしわ寄せがいってしまうので、不快になってしまう気持ちはわからないわけではありません。そのため、不妊治療であることを隠している人もいるようです。

 

しかし結局通院による時間や体への負担から、欠勤や遅刻などが増えてしまうと、不妊治療でなくても嫌味や嫌がらせを受けることに…。

嫌がらせが続いた結果、職場に居づらくなって離職を選択せざるを得なくなってしまいます。

 

治療の内容的に女性の負担が大きい

不妊治療は、男性より女性のほうが心身の負担が大きいです。

 

検査ひとつとっても、女性は超音波検査、卵管造影検査、ホルモン検査、フーナーテストといった検査を行うのに対し、男性は精液検査と血液検査が基本の検査となっています。これだけでも、女性のほうが行う検査数がはるかに多くなっています。

 

さらに、タイミング療法や人工授精、体外受精においても、女性の負担が大きく、またストレスも大きいです。そして、これらの治療を行っても妊娠できなかったときの精神的なダメージも女性のほうが深いと思われます。

 

不妊治療における男性の負担もあるのですが、どちらかというと男性よりも女性のほうが、不妊治療と仕事の両立は難しいといえます。

 

体調を崩して出社できないことも

女性の不妊治療では、痛みを伴う検査がある、ホルモン治療によって落ち込みやすくなるなど、体調を崩してしまうものもあります。そのため、通院のあと遅刻をして出社することができないことも。休暇を取って不妊治療を受けた翌日、体調が回復しないために欠勤せざるを得ないケースもあります。

 

体外受精の場合、女性は採卵をする必要があります。採卵後は一定の時間病院で休んでから帰宅できますが、不調を覚える人も多いのです。採卵時に感じる痛みをはじめ、採卵後に腹痛が起こる人、出血してしまう人、吐き気をもよおす人もいます。

 

不妊治療による不調のレベルはさまざまですが、出社できないほど体調を崩した場合、仕事の両立ができないと感じてしまうのは致し方ありません。

参考:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30k.pdf

 

 

不妊治療休暇を利用するメリット

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不妊治療休暇を利用できることには、いろいろなメリットがあります。

以下にその一例をご紹介します。

 

ストレスなく通院時間を捻出できる

ひとつは、やはりストレスを感じることなく通院できるという点です。不妊治療休暇制度を導入しているということは、不妊治療を前向きにサポートしている企業だということ。その制度を利用すれば、少なくとも肩身の狭い思いで通院する必要はありません。

 

不妊治療休暇の導入は企業によって個性があり、半日休や時間休の場合は有給で休暇を取得できるところもあります。有給であれば収入面でも不安を感じることなく不妊治療に励むことができます。

 

また、不妊治療休暇を取得することで、解雇などのリスクを軽減できる可能性がある点も、メリットのひとつです。非正規雇用でも不妊治療休暇を取得できれば、単なる欠勤や早退扱いにはならないため、契約更新時の不安が小さくなります。不妊治療休暇制度によって雇用の安定化が図れるのは、とても画期的です。

 

制度によっては不妊治療費を負担してもらえる

ある企業では、不妊治療が一定の金額を超えた場合、その一部を負担する支援制度を設けています。不妊治療は内容によって多額の費用が発生する治療法があるので、その費用を一部でも負担してもらえるのは大変助かりますね。

 

ほかにも、ある企業では体外受精や顕微受精といった高額な不妊治療を受ける場合、その費用を貸し付ける制度を設けています。返済は給料から天引きなので、返済漏れもありません。

 

 

会社によって不妊治療休暇の支援内容はさまざま

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先にも触れていますが、不妊治療休暇制度の認定条件は幅広く、独自の支援内容を設けている企業も少なくありません。

 

以下に、企業が設けている支援制度をいくつかご紹介します。

 

これまでの支援制度の中に不妊治療が加わる

ある企業は、これまでも仕事とライフイベントの両立に向けてさまざまな支援を行ってきましたが、そこに不妊治療の項目を加えました。

 

ライフイベントというと、結婚や出産が代表的です。これらの影響でライフサイクルが変わっても仕事を継続できるような支援を行っていることに加え、不妊治療においては休暇の取得、最大2万円まで不妊治療の費用を補助といった項目をプラスしています。

 

さらに、妊娠中の不調や不妊治療による休暇を、すべて「家族休暇」という名称で表記することにした点も、この企業の特徴です。センシティブな休暇理由が周囲にわからないように配慮するのが目的で、同じ部署の社員に不信感を与えない効果も期待できます。

 

不妊治療休暇に加えて産後に手厚い支援を設けている

ある企業では、不妊治療休暇制度で月1回まで特別休暇を取得できるようにしました。さらに、不妊治療だけでなく不妊治療から妊娠〜出産後も仕事と両立できるように、テレワークの制度を整え、より働きやすい環境づくりに尽力しています。テレワークは男性も利用できるので、女性だけが家のことを任されるという概念の払拭にも貢献しています。

 

また、これから不妊治療を検討している人、子どもがほしいけれど仕事との両立に悩んでいるという人に向けて、専門のカウンセラーからカウンセリングを受けられる制度を整えています。不妊治療だけでなく、その以前、そして不妊治療後まで幅広くサポートしている点が特徴です。

 

最長で365日休暇を取得できる会社も

さらには、不妊治療休暇として最大で365日の休暇を取得できる制度を整えている会社もあります。無休ではあるものの、不妊治療によって体調を崩すことも少なくないため、1日休むことができるのはとても助かるはず。

 

その上で、通常の有給休暇とは別に、年に5日不妊治療での有給休暇を付与しているそうです。不妊治療だけでなく、子どもの授業参観や病気時の看病にもあてることができます。不妊治療は妊娠したら終わりではなく、出産、育児と続いていきます。不妊治療休暇制度をライフイベントと合わせて利用できると、より仕事との両立がしやすくなりそうです。

 

 

さらなる不妊治療休暇制度の拡大が期待されている

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夫婦共働きの時代が当たり前になりつつある現代は、仕事とライフイベントの両立が必要不可欠。しかしそれは本人たちだけの努力では叶えられないことが多いです。

 

不妊治療休暇制度が今後さらに普及することによって、これまで考えていなかった企業も導入に向けて動き出す可能性があります。また、制度の導入が社員への意識向上のきっかけとなり、不妊治療休暇を取得した人に対する嫌がらせがなくなっていくかもしれません。今後もっと幅広く不妊治療休暇制度が普及することを期待したいですね。

 

そして、就職活動中の女性や、結婚などのライフイベントによって転職を検討している人は、不妊治療休暇制度を導入している企業への就職を検討するのもひとつの方法です。不妊治療休暇制度を導入している企業は、ほかにも社員が快適に働ける環境を整えているところが多く、より快適に働くことができるのではないでしょうか。