2022年9月9日
AMH(抗ミュラー管ホルモン)値が低い主な原因と効果的な養生法
不妊の原因は様々ですが、一つの指標として考えられているのが“AMH(抗ミュラー管ホルモン)値”です。当院にいらしている患者様にも”年齢と比べAMH値が低いと指摘された。“と悩まれている方は多くいらっしゃいます。AMH値が年齢の平均値と比べ低くなっていると”卵巣機能が低下し、老化が進行している”状態をあらわします。AMH値の結果によっては妊活を始めたばかりの方でも “体外受精”までステップアップしなければならないこともまれにあります。
女性は卵子の数が生まれつき決まっているため、妊活中の方は”自分がいま何歳ぐらいの卵巣機能がなるのか”知っておくことはとても大切なことなのです。
そこで今回はAMH値が低くなる主な原因と効果的な養生法を東洋医学の視点から解説していきたいと思います。
【目次】
AMH(抗ミュラー管ホルモン)値とは?
AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは一言でいうと“卵巣年齢”のことで近年の不妊治療でよく見受けられる検査項目の一つです。また“卵巣予備能”ともいわれています。
AMHは“卵胞の発育過程(前胞状卵胞)”から分泌されるホルモンで血中AMHの測定値と発育卵胞の数が比例すると考えられています。つまり“原子卵胞の数が減ってくる”とAMH値が低くなります。
AMH自体は年齢とともに減少するホルモンですので、年齢を重ねるにつれ低下していきますが、測定した値と各年齢の平均値がかけ離れていると”卵巣機能が低下している“と判断されることがあります。
AMH値の基準値は以下の表をご参考ください。
年齢 | AMH値(ng/ml) |
20~24歳 | 2.00~12.50 |
25~29歳 | 1.95~10.70 |
30~32歳 | 0.64~14.20 |
33~35歳 | 0.89~8.31 |
36~38歳 | 0.40~6.92 |
39~41歳 | 0.11~7.26 |
42~44歳 | 0.07~4.13 |
45~49歳 | 1.52以下 |
東洋医学で考えるAMH(抗ミュラー管ホルモン)値が低くなる主な原因
東洋医学では”五行学説“という自然界に存在する5つのアイテムや機能を分類する考え方があり、その一つが五臓で”人の身体の機能を5つに分類“したものになります。
五臓はそれぞれが連携し合い、バランスを保つことで健康を維持されていますが何らかの原因によりそのバランスが崩れると様々な不調があらわれます。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)値は腎機能が低下している可能性がある!?
東洋医学でAMH値が低くなる原因で一番多いと考えられているのが”腎機能の低下“によるものです。
腎は”水分代謝“などを主るだけでなく、”生殖機能“ととても深い関係があります。そのため腎機能が低下すると生殖機能が衰える原因になります。
腎機能はAMH値と同様に”年齢とともに低下“するものではありますが、年齢に比べ腎機能が低下していると”身体の老化“が進行し、”子宮や卵巣の機能も低下“してしまいます。子宮や卵巣の老化が進行するとAMH値も下がり、不妊の原因になることがあります。
腎機能が年齢と比べ低下する原因で多いのは”甘いものの摂り過ぎ“によるものです。甘いものは五臓でいうと”脾“に分類されており、脾と腎はとても深い関係性があります。甘いものを摂り過ぎて脾の機能が制御できなくなると”腎の機能を直接攻撃“してしまうので腎機能が低下する原因になります。
腎機能を改善するために効果的な養生法3つ
AMH値が低くなる原因は様々ですが、多くの方は腎機能が低下している傾向があります。そのため、AMH値を改善するためには”腎機能を高める“ことがとても重要です。腎機能を高めるには
- 食生活の見直し
- 質の良い睡眠を摂る
- 腎機能を高める漢方薬を併用する
などの養生法が効果的です。
甘いものの摂り過ぎには注意し、腎機能を高める食品を摂ろう
AMH値が低くなる原因でもご紹介したように”甘いものの摂り過ぎ“は腎機能が低下する大きな原因になります。どうしても甘いものを食べたいときは”果物やさつまいも“など自然な甘みを摂取するようにしましょう。
また”砂糖やバター“などがたくさん含まれている甘い洋菓子などではなく、”せんべいやおかき“など”お米の甘み”で代用していただくこともおすすめです。
さらにAMH値を改善するためには”腎機能を高める食品を摂取“することも大切です。
- 木の実類(桑の実、松の実、クコの実など)
- 黒い食べ物(黒豆、黒ごま、黒米、黒きくらげ、海藻類など)
- 粘りや渋みのあるもの(山芋、銀杏、牡蠣など)
などが代表的です。過剰に摂り過ぎてしまうのも良くありませんが、積極的に取り入れてみましょう。
早寝早起きを心がけ、質の良い睡眠で腎機能を補おう
東洋医学では“地球上全てのものが陰陽のバランスを保ち、存在している”と考えられおり、人は常に自然界の影響を受けて体内の陰陽を保っています。
時間にも陰陽が存在し、日が昇っているときは”陽“で日が沈んでいるときは”陰“に分類されます。そのため日が沈んでいる”夜“にしっかり睡眠を摂ることで陰に属する”腎の機能を補うことができる”と考えられています。ですが”夜更かし“など不規則な生活を繰り返し、十分に陰を補えていない状態が続くと腎の機能が低下する原因につながります。
”午後10時から午前2時“は陰を補う”ゴールデンタイム“です。睡眠時間を確保することも大切ですが、一番大切なのは”睡眠の質“なので夜更かしなど不規則な生活は控え、できるだけ陰を補うゴールデンタイムは就寝するように心がけましょう。
腎機能を高める漢方薬を併用してより効果的に
ご紹介した養生法をしていただくことも大切ですが、漢方薬を併用していただくことでより効果が期待できます。
腎機能を高める漢方薬は大きくわけて腎を補いつつ“温める”ものと“冷やす”ものの2種類あります。
腎機能が低下し、四肢が冷えやすく“夜間尿”などの症状がある方は“八味地黄丸”、冷えに加え”下半身にしびれ“などがある方は”牛車腎気丸“などがおすすめです。また”ほてりやのぼせがあり、目がかすむ“などの症状がみられる場合は”杞菊地黄丸“がよく使用されます。
※漢方薬は体質にあったものを服用する必要があります。体質にあっていないものを服用し続けた場合は症状が悪化したり、下痢などの副作用が出ることがあります。そのため自己判断での服用は避け必ず東洋医学の専門家に相談しましょう。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)値が低い主な原因と効果的な養生法のまとめ
今回はAMH値が低い主な下人と効果的な養生法を東洋医学の視点から解説させていただきましたが、AMH値が低いからといって妊娠に至れないわけではありません。実際AMH値が低い方でも妊娠・出産されている方は多くいらっしゃいます。
妊娠に至るために一番大切なのは”心身ともに健康“であることですので、ご紹介した養生を心がけることで妊娠・出産は十分に可能です。お心当たりのある方は是非一度見直してみてください。
当院では鍼灸施術だけでなく、体質にあった漢方薬の処方もおこなっておりますのでお心当たりのある方はぜひ一度ご相談ください。
※大阪以外の遠方の方にも、お身体の状態や不妊治療の経過に合わせて、漢方薬や自宅できるお灸などをお伝えして対応していますので、気軽にメールや電話にてご相談ください。
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