2022年3月24日
【妊活】月経周期が長いと排卵障害の原因になる!?
妊活において自身の月経周期を知っておくことはとても大切なことです。月経周期とは“月経開始日から次の月経までの日数”をいいます。
一般的には正常の月経周期は“28日”と記載されることが多いですが本来は“25~38日”であれば正常範囲内といわれていますが、“39日以上”になると月経周期が長い“稀発月経”と診断されます。月経周期があまり長いと”排卵障害“に不妊の原因になってしまうことがあります。
そこで今回はなぜ月経周期が長くなると排卵障害になる恐れがあるのか体質別に効果的な漢方薬と一緒にご紹介していきたいと思います。
月経周期の長さと多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による不妊の関係性
月経周期が長い方不妊に多いと考えられているのは “多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)”といわれる疾患によるものです。
多嚢胞性卵巣症候群とは何らかの原因で“卵巣から男性ホルモンが通常より多く作られてしまい、排卵障害をきたす”疾患のことです。
男性ホルモンには”卵胞の発育を抑制し、卵巣の外側の膜(白膜)を厚くする”働きがあるため増加すると排卵の妨げになってしまいます。また脳の下垂体からLH(黄体ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)がバランスよく分泌されることでスムーズな排卵がおこなわれています。
【多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合】
ですが多嚢胞性卵巣症候群の場合は何らかの原因でLHとFSHのバランスが崩れ、FSHより“LHが過剰に分泌”され卵胞の発育が上手くいかず排卵障害になるため”月経不順や無月経“の原因になると考えられています。
東洋医学で考える月経周期が長くなる原因と効果的な漢方薬
東洋医学では月経周期が長くなる主な原因は“冷え”などによるものだと考えられています。体質タイプでいうと”気虚・血虚、腎虚“などの傾向がある方は月経周期が長くなりやすいです。
子宮や卵巣の栄養不足により月経周期が長くなる「気虚・血虚」
生活動のエネルギー源である”気“が何らかの原因で不足している状態を”気虚“といい、全身に栄養を与える”血“が不足した状態を”血虚“といいます。
【気虚の症状】
- 息切れ
- 疲れやすい
- 風邪を引きやすい
- 食欲不振
- 集中力が継続しない
【血虚の症状】
- めまいやたちくらみ
- 手足が冷える
- 髪に潤いがなく、抜けやすい
- 爪が割れやすい
- 不眠、不安感があ
などの症状がある場合は“気虚や血虚”により月経周期が長くなっている可能性があります。
気と血はとても密接な関係があり“相互に影響を及ぼし合っている”とされているため、気が不足していたら血も不足してしまうことがあります。
血には“全身に栄養を与える働き”があり、気や血が不足していると“子宮や卵巣に十分な栄養が行き届かず、卵胞の発育や子宮内膜の厚さに影響”を及ぼしてしまいます。
「気虚・血虚」タイプの月経周期が長くなる不妊に効果的な漢方薬
気や血が不足し月経周期が乱れている場合は気や血を補う生薬が含まれている”婦人宝や十全大補湯、人参栄養湯“などの”補気剤、補血剤“が使用されます。
当院では気や血を補い巡りも良くし、身体を温める”婦人宝“をよく使用します。
生殖機能の低下により月経周期が長くなる「腎虚」
五臓(肝心脾肺腎)の腎の機能が失調した状態を“腎虚”といいます。
腎は“生殖機能やホルモン”と関係が深く、なんらかの原因で腎の機能が失調すると“子宮や卵巣の機能も低下”し月経周期が乱れてしまいます。また腎虚には“腎陰虚と腎陽虚”の2種類あり、月経周期が長くなる傾向にある方に多いのは“腎陽虚”です。
腎陰虚と腎陽虚の違いは簡単に言うと”熱っぽいか冷えているか“です。
腎には”冷やす作用と温める作用“があり、これらがバランスよく保つことで腎の機能が正常に働いていますが、何らかの原因でバランスが崩れどちらかの作用が不足すると”腎陰虚や腎陽虚“になります。
【腎陽虚の症状】
- 夜間尿がある
- 下半身が冷える
- 足腰がだるい
- 下肢のむくみ
- 耳鳴り
などの症状がある場合は腎陽虚より月経周期が長くなっている可能性があります。
「腎虚」タイプの月経周期が長くなる不妊に効果的な漢方薬
腎虚の場合は名前通り腎の機能が低下している状態のため、腎の働きを補う“参茸大補丸錠や牛車腎気丸、六味丸”などの”補腎剤“を使用します。
また月経周期が長くなる方に多い“腎陽虚”の場合は身体を温める効果がある“八味地黄丸”を使用することが多いです。
東洋医学で考える多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で月経周期が長くなる原因
多い多嚢胞性卵巣症候群の場合東洋医学では”痰湿や血瘀“によって月経周期が長くなると考えられています。痰湿や血瘀になる主な原因はストレスや偏った食生活などによって生じます。
“油物や甘いもの、味の濃いもの”などを摂り過ぎると“ドロドロとした余分の脂や血液などが卵巣周囲にこびりつき、卵巣の外側にある白膜を硬く厚くし排卵を妨げる”と考えられています。
【痰湿の症状】
- むくみ
- 身体が重だるい
- めまい
- 痰がでる
- 悪心嘔吐
【血瘀の症状】
- 肩こり
- 頭痛
- シミやそばかす
- 傷跡やあざが残りやすい
- 経血にレバー状の塊が混ざることがある]
などの症状がある場合は”痰湿や血瘀”による多嚢胞性卵巣症候群の恐れがあります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)による不妊に効果的な漢方薬
多嚢胞性卵巣症候群の場合は先ほどご紹介したように”痰湿と血瘀”傾向のある方が多いため、痰湿傾向の方は無駄な水分や痰湿を取り除く“化痰剤”や血の巡りを良くする”活血剤“を使用します。
当院では”桂枝茯苓丸や芎帰調血飲第一加減“、気の巡りも悪い場合は”加味逍遙散“などを使用します。
※漢方薬は効果的ですが体質に合ったものを服用する必要があり、合っていないものを服用すると症状が悪化する恐れがあります。そのため漢方薬を服用の際は自己判断を避け、東洋医学の専門家に必ず相談しましょう。
月経周期が長いと排卵障害の原因になる!?のまとめ
月経周期が長いと排卵障害の原因になると考えられていますが、決して妊娠できないわけではありません。体質改善していただくことで妊娠・出産は十分に可能です。ですが体質改善するためには漢方薬の服用だけでなく、“生活習慣の見直し”もしていただく必要があります。
今回ご紹介した体質いずれにも当てはまるのは“ストレスと偏った食生活”によって月経周期が長くなるということです。ストレスは”自律神経やホルモンバランスが崩れる”大きな原因になるため、日頃からストレスをため込まないよう“趣味の時間を作って気分転換したり、適度な運動”をしたりしましょう。
また夜更かしや睡眠不足などの“不規則な生活”もストレスの原因になるため控え、偏った食生活は“多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)”になる原因になります。“甘いものや油物、味の濃いもの”などはご紹介したように”痰湿や血瘀“の大きな原因になるので控え、バランスのよい食事えを心がけましょう。
養生と漢方薬を併用し“体質改善”をしていただくことが妊娠への近道ですので心当たりのある方は今一度生活習慣を見直してみてください。
当院では鍼灸施術だけでなく体質に合った漢方薬の処方もおこなっておりますので、心当たりのある方は是非一度当院にご相談ください。
また大阪以外の遠方の方にも、お身体の状態や不妊治療の経過に合わせて、漢方薬や自宅できるお灸などをお伝えして対応していますので、気軽にメールや電話にてご相談ください。
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