2021年9月22日
【妊活】 男性不妊の鍼灸施術と漢方薬

男性不妊とは?
近年、日本人カップルの“6組に1組”は不妊症だといわれています。
WHOの調査によると不妊の原因が女性のみの場合は約41%、男性のみは約24%、男女双方は約24%となっており、“不妊に悩まれているカップルの2組に1組は男性側にも原因がある”とされています。
今までは不妊の原因は女性にあるとされていましたがこの調査の結果により、潜在的に男性不妊の方が多数おり、現代では男性の数十人に1人は不妊症ということが明らかになりました。
男性不妊の種類
男性不妊に関する厚生労働省の調査の結果では、男性不妊の種類は主に
の3つに大きく分けられると考えられています。
男性不妊の約85%以上を占める「造精機能障害」
造精機能障害は“男性不妊の原因の中で一番多い”といわれており、男性不妊全体の“約85%以上”を占めています。
精巣の調子が悪く、“精子を造ることができない、造りにくい、あるいは造れたとしても精子の質(精子の運動率)が良くない”状態をいいます。
まれではありますが“精索静脈瘤やクラインフェルター症候群、停留精巣”などの病気が原因になることもあります。
膣内射精ができない「性機能障害」
性機能障害とは、ED(勃起障害)や膣の中で射精ができないなどの“射精障害”のことをいいます。
割合としては造精機能障害に次いで多いといわれています。
精子の通り道が塞がってしまう「精路閉塞機障害」
精路閉塞障害とは精巣内で精子は造られているのに、何らかの原因により精子の通り道が塞がってしまってしまい、“射精した精液に精子がない状態(閉塞性無精子症)”のことをいいます。
男性不妊の種類の中ではとてもまれなケースで全体の約3%ほどだといわれています。
3.男性不妊の主な原因
男性不妊の原因は不明のものが多く、ほとんどが“ストレスや生活習慣の乱れ、加齢”などが原因ではないかと考えられていますが、
・造精機能障害
・性機能障害
・性感染症
・精路閉塞障害
などが診察や検査などでみつかることがあります。
また“思春期以降におたふく風邪の既往歴がある方”に精液所見が不良になることがあります。
生活習慣においては
・喫煙
・睾丸を過度に温める
・肥満、カロリーや炭水化物の過食
・過度の飲酒
などが影響することもあるといわれています。
東洋医学で考える男性不妊
東洋医学で男性不妊に関係は深い五臓(肝、心、脾、肺、腎)は“腎”と考えられています。
腎には“水分代謝や骨格の維持、成長、生殖器機能”などのはたらきがあり、生命活動の基礎である“精”を蓄える場所で、“生命維持や生殖機能”に深く関与している物質になります。
腎のはたらきが低下すると精を蓄える力が低下し、”精子をつくる機能が低下“してしまいます。
また、気血水の“気や血”も関与することもあります。
血は“勃起機能”に関係すると考えられています。
血が少ないと勃起に力がなくEDや性行為に支障がでてしまいます。
さらに、腎に蓄えられる精には“先天の精”と“後天の精”があり、先天の精は“両親から受け継がれたもの”で年齢とともに低下していきます。
後天の精は“飲食”などによって補われるものですが直接精として蓄えられるのではなく、“飲食物から気や血となり、この気や血から精が補充”されます。
そのため“気や血の減少などは腎に蓄えられる精の減少”へとつながることがあり、男性不妊の原因とも考えられています。
男性不妊の鍼灸施術と漢方薬
東洋医学では五臓(肝、心、脾、肺、腎)や気血水のどれか一つでも病んでしまうと、身体全体のバランスが崩れ様々な症状が出てくると考えられています。
例えば過度な飲酒により肝臓に負担がかかった場合、もちろん五臓の“肝”自体のはたらきは低下してしまいますが、肝だけでなく密接な関係のある“腎”などのはたらきも低下し様々な症状が出ると考えられています。
そのため鍼灸では、“肝や腎のはたらきを正常化”してあげることで身体のバランスを整え“体質改善”していきます。
また鍼灸とともに漢方薬も併用していただくことでより効果が期待できます。
男性不妊の場合は腎のはたらきを高める“八味地黄丸や六味地黄丸”、また虚弱体質な方などには滋養強壮の“参茸大補丸(さいじょうたいほがん)”などが使われることがあります。
ですが、漢方薬は体質にあったものを服用しなければなりません。
体質にあっていないものを服用すると場合によっては症状が悪化してしまうことがあります。
漢方薬を服用の際は必ず東洋医学の専門家に相談しましょう。
男性不妊の大切な養生法5つ
男性不妊の場合、生活習慣の見直しがとても大切です。
禁煙
喫煙による酸化ストレスが精子のDNA構造を傷つけてしまい、“精子の数や運動率が低下”する場合があります。
また喫煙による血管収縮で血流が悪化しEDなどを招いてしまうことがあるため、妊活の喫煙は控えましょう。
食生活の見直し
“過度の飲酒や油物、味の濃い物”などは肝臓に負担がかかってしまいます。
東洋医学では肝は“気や血を巡らせる”はたらきがあるため、偏食などにより肝のはたらきが低下してしまうと全身の気や血の巡りが悪くなり腎に精を蓄えることができなくなってしまいます。
腎を補う食材として“黒豆や黒ゴマ、きくらげ、ひじき”などの黒い食材”がおすすめです。
そのほか“山芋や里芋、れんこん”など“粘り気のある食材”も腎精を補充するといわれており、おすすめです。
過度の飲酒や油物は控え、腎を補う食材を積極的に摂取しバランスの良い食事を摂りましょう。
下半身に熱がこもらないようにする
睾丸は熱がこもらないように外に出ているといわれおり、下半身に熱がこもってしまうと“精子を造る能力が低下”します。
“長風呂やサウナ”は控えめにし、“PCを膝上などに置いて扱ったり、スマートフォンをズボンの前ポッケや股間周囲で扱う”のも下半身に熱がこもる原因とされているため、やめましょう。
また“座りっぱなしや下半身の圧迫”なども熱がこもりやすく、精子の数や運動率に影響します。
下半身は常に涼しく、快適な状態を保つようにしましょう。
質の良い睡眠をとる
睡眠不足や質の悪い睡眠、不規則な生活などはストレスの原因になり、男性ホルモンの数値が下がる原因にもなります。
睡眠に入る約30分前にはスマートフォンやPC、テレビを見るのは控え、最低7.8時間は睡眠を摂るように心がけましょう。
適度な運動
運動不足は全身の血流が悪くなり、精子の質が下がる原因になります。
そのため、ランニングや水泳などの有酸素運動はもちろんですが、“30分程度のウォーキング”など自分の体力にあった運動からはじめてみましょう。
運動は“テストステロン(男性ホルモン)”の関係が深く、定期的な運動をおこなうことでテストステロンが増えることもわかっているためおすすめです。
男性不妊の鍼灸と漢方薬のまとめ
男性不妊だからといって子どもを授かることができないわけではありません。
鍼灸や漢方薬、養生法などで“体質改善”していくことで子供を授かる可能性は十分にあります。
女性か男性どちらか片方に不妊の原因があったとしても“ご夫婦一緒に妊活”をしていただくことが子供を授かる近道です。
当院は不妊治療や妊婦さんなど女性のための鍼灸院ですが、男性不妊の方のご相談も受け付けており、ご夫婦一緒に体質改善のため来院される方もいらっしゃいます。
漢方薬の処方だけでも可能ですので心当たりのある方は一度当院にご相談ください。
※大阪以外の遠方の方にも、お身体の状態や不妊治療の経過に合わせて、漢方薬や自宅できるお灸などをお伝えして対応していますので、気軽にメールや電話にてご相談ください。
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