2021年9月9日
【妊活】妊活中に欠かせない「鉄分」について
なぜ妊娠に至るためには鉄分が必要なのか
妊活中の女性には欠かせない栄養素のひとつです。
鉄分は主に“赤血球を作り出す”はたらきがあり、赤血球には身体に“酸素や栄養素を運ぶ”はたらきがあります。
また鉄分には“子宮内の粘膜をつくる”役割や女性ホルモンの一つである“黄体ホルモンの分泌を促す”作用もあります。
子宮が赤ちゃん(受精卵)を迎えるベッドだとしたら、鉄分の粘膜をつくるはたらきと黄体ホルモンによって居心地の良いふかふかのベッドをつくることができます。
ですが、鉄分不足なると十分な酸素や栄養が行き渡らなくなってしまい、“子宮や卵巣の機能が低下”するため“排卵障害や受精卵が着床しにくくなる原因”になってしまいます。
さらに妊娠率を高めるには“卵子の質”も関わってくるといわれています。
鉄分には“活性酸素を除去する酵素”が含まれており、この酵素は“身体の酸化や老化”を防ぎます。
鉄分が不足し、体内の活性酸素をうまく除去できなくなると“卵子も酸化”してしまうため、 “卵子の質を下がり妊娠しづらくなる原因”になることもあります。
よって鉄分は妊娠を望む方にはとって不足してはならない栄養素となってします。
妊娠を遠ざけてしまう鉄分不足による貧血
鉄分不足による貧血は不妊の原因になることがあります。
女性の場合、月経により鉄分が失われているため、妊娠可能な女性のほとんどが“鉄分不足”に陥っているといわれています。
体内の鉄の約6~7割は血液に含まれる“ヘモグロビン”の成分として、残りの約2~3割は脾臓、肝臓、小腸粘膜に“貯蔵鉄”として蓄えられます。
体内の鉄分が不足すると、まず貯蔵鉄から不足分が補われて、血液中に供給されるしくみです。
鉄分不足により起こる貧血は主に2つです。
体内の鉄分が不足する鉄欠乏性貧血
1つ目は体内の鉄分が不足し、身体に酸素を十分に運べなくなる貧血を“鉄欠乏性貧血”です。
鉄欠乏性貧血の主な原因は“偏食や胃切除などによる吸収低下”や“月経などによる性器出血や消化管出血”、“成長期などに伴う鉄分の需要増加”などがあげられます。
主な症状は
・全身の倦怠感
・動悸、息切れ
・めまい、耳鳴り
・顔面の蒼白
・さじ状爪(爪が薄く平らになる)
・異食症(氷を食べたがる)
などの症状がみられることがあります。
貯蔵鉄のフェリチンが減少する潜在性鉄欠乏貧血
2つ目は貯蔵鉄(フェリチン)が減少しているものの、まだ貧血症状が出ていない“潜在性鉄欠乏貧血”です。
一般的な健康診断や献血などでは“ヘモグロビン”などの数値を調べているため、貯蔵鉄(フェリチン)が減少していても気づくことができないことから“隠れ貧血”ともいわれています。
不妊などの方はこの“フェリチンの値が低下”していることが多いといわれています。
以下のような症状がある場合は“隠れ貧血”の可能性があります。
・朝起きるのがつらい
・手足が冷えている
・頭痛、身体がだるい
・いつもイライラする
・不眠
・アザができやすい
などの症状がみられることがあります。
気づかない間に隠れ貧血となり、妊娠を遠ざけてしまっている可能性があります。
お心当たりある方は一度検査をしてみるのがおすすめです。
鉄分不足の改善方法
ヘム鉄を含む食べ物を積極的に摂取する
30~49歳の女性の場合、1日に10.5mgの鉄分が必要であり、普通の食生活だけで補うのは難しいといわれています。
よって鉄分を補うには普通の食生活に加え、鉄分を積極的に摂取する必要があります。
食べ物に含まれる鉄には“ヘム鉄と非ヘム鉄”の2種類あります。
ヘム鉄には“吸収されやすい”という特徴があり、“レバーや赤身の肉、マグロ、カツオ、アジ”などに含まれています。
その中でもレバー(特に豚レバー)には鉄分が多く含まれており、妊活中には積極的に摂取することがおすすめです。
ですが、レバーには“ビタミンA”が含まれており摂り過ぎてしまうと中毒症状を起こしたり、お腹に赤ちゃんがいる際は“胎児奇形”の危険性もあるため摂り過ぎには十分に注意しましょう。
また非ヘム鉄には“ヘム鉄に比べ体内で吸収されにくい”特徴があり、しっかり摂取していても不足になることがあります。
“ほうれん草や小松菜、大豆、のり、ごま、さつまいも”などに多く含まれてあり、主に“植物性”のものに非ヘム鉄が含まれていることが多いです。
非ヘム鉄だからといって摂取する意味がないわけではありません。
非ヘム鉄の食材を摂取する際は“動物性のたんぱく質と一緒に摂取”すると吸収率がアップするといわれています。
非ヘム鉄を摂取する際は、肉や魚などと一緒に摂取することがおすすめです。
また鉄は“酸”により溶け出すので、“梅干しや酢、レモン”などの酸っぱいものと組み合わせたり、よく噛んで食べたりすると胃液の分泌が促進され吸収率がアップするためおすすめです。
鉄分を多く含むフルーツとして“プルーン”が知られていますが、実はプルーンには体内の鉄を吸収して排出してしまう“ペクチン”という成分が含まれています。
糖質も高いため注意は必要です。
鉄分を摂取する際の食べ合わせに注意する
ヘム鉄などが多く含まれるものを摂取していたとしても、食べ合わせによっては“鉄分の吸収を阻害”してしまうことがあります。
例えば“コーヒーや緑茶、紅茶、ウーロン茶”など含まれている“タンニン”や玄米やおからなどに含まれる“不溶性食物繊維”などは鉄が一緒に排出されてしまうため、摂り過ぎには注意が必要です。
加工食品の“添加物やインスタント食品、スナック菓子、清涼飲料水”などの偏食も鉄分不足の原因になるので控えましょう。
鉄分不足の不妊に有効な漢方薬
鉄分不足の改善に食べ物などはもちろんですが、漢方薬も有効です。
東洋医学で鉄分不足や貧血は気血水の“血が不足”していると考えられています。
血が不足している際は “補血(血を補う)や活血(補われた血を全身に届ける)”などの薬効が認められた生薬が含まれている漢方薬を服用することで効果が期待できます。
貧血などの症状には“当帰芍薬散や加味帰脾湯、婦人宝”などがよく使われています。
漢方薬は体質にあったものを服用することで効果が期待できます。
もし体質にあっていないものを服用すると場合によっては症状が悪化してしまうことがあります。
漢方薬を服用の際は、お近くの東洋医学の専門家をお尋ねください。
妊娠に欠かせない栄養素「鉄分」についてのまとめ
妊娠に至るために鉄分は欠かせませんが、鉄分を積極的に摂取したからといって必ず妊娠・出産ができるわけではありません。
妊娠に至るためには鉄分だけでなく様々な栄養素が必要です。
ですので鉄分だけでなく”バランスよく栄養を摂る”ことがとても大切です。
ですが妊娠・出産ができないわけではなく、”生活習慣や漢方薬などを使って体質改善”をしていくことで妊娠や出産をすることは十分に可能です。
そのため鉄分の摂取は妊活の一つの方法としてお考え下さい。
当院は不妊治療や妊婦さん専門の鍼灸院ですが、漢方薬の処方もおこなっておりますので心当たりのある方は是非一度ご相談ください。
※大阪以外の遠方の方にも、お身体の状態や不妊治療の経過に合わせて、漢方薬や自宅できるお灸などをお伝えして対応していますので、気軽にメールや電話にてご相談ください。
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