2021年8月3日
【妊活】子宮筋腫による不妊に効果的な鍼灸と漢方薬
子宮筋腫の主な原因
子宮筋腫の症状
子宮筋腫と不妊の関係性について
東洋医学で考える子宮筋腫の不妊とは?
子宮筋腫による不妊の鍼灸と効果的な漢方
子宮筋腫による不妊を改善する大切な養生法3つ
子宮筋腫とは?
子宮筋腫とは、30歳以降の女性に多く見られる子宮の壁にできる良性の腫瘍(しこり)ができる病気のことです。
子宮の壁は“平滑筋”といいわれる筋肉でできているため“筋腫”とよばれています。
子宮筋腫は悪性腫瘍(がん)のように周囲の組織を破壊しながら急激に大きくなったり、他の部位への転移などはありません。
ですが発症すると筋腫は徐々に大きくなり、日常生活に支障をきたすほど強い症状などが出る場合は手術などが必要になってきます。
子宮筋腫の主な原因
子宮筋腫が発生する原因は現在のところ全ては解明されていません。
ですが子宮筋腫には“エストロゲン”とよばれる女性ホルモンが大きく関係しているといわれています。
なぜなら娠中やエストロゲンの投与により筋腫が大きくなること、逆にエストロゲンの分泌が少ない初潮を迎える前の小学生や乳幼児にはみられません。
またエストロゲンを下げる治療や閉経によって筋腫が小さくなることから発症や発育にエストロゲンが関係していると考えられています。
エストロゲンとは卵巣から分泌される女性ホルモンのひとつで妊娠や出産には必要不可欠なものです。
受精卵を着床させるため、“排卵に向けて子宮内膜を厚くしフカフカのベッドをつくる”作用があります。
3.子宮筋腫の症状
子宮筋腫の症状は大きさや筋腫の部位によって異なりますが、一般的には“月経量の増加”や“生理痛が増強する”のが特徴です。
そのため“貧血”の症状もみられることがあり、貧血の検査から子宮筋腫が発見されることも少なくありません。
さらに筋腫が大きくなってくると月経時以外にも“下腹部の痛みや重苦しさ”、“不正出血”が生じ、“腰痛や頻尿”などの症状もみられることがあります。
4.子宮筋腫と不妊の関係性について
子宮筋腫によって不妊になる原因は詳しくわかっていません。
一つの説としては子宮筋腫が子宮の内側にできたりしてしまうと、子宮内の形がデコボコに変形するため着床しづらくなることが原因ではないかといわれています。
また筋腫のコブが子宮内腔にある“粘膜下筋腫”の場合、子宮内に避妊リングをつけている状態と同じになるためより妊娠しづらくなることがあります。
さらに子宮が硬く、収縮しやすい状態になることで“流産や早産”になる原因や子宮筋腫によって精子が“卵管膨大部(受精する場所)”までの移動がスムーズにいかなくなってしまうことも不妊の原因とされています。
東洋医学で考える子宮筋腫の不妊とは?
東洋医学には“気、血、水”という概念があります。“気”は元気や気力などといった“エネルギー”、“血”は“血液”、“水”は血液以外の“体液”のことを示しています。
これらのバランスが整っている状態が心身ともに健康です。
ですが、何らかの原因により“気、血、水”のバランスが崩れ病気や身体の不調が起こると考えられています。
子宮筋腫の場合は主に“血”の異常が原因と考えられています。
血の流れが滞ると全身の血液の循環が悪くなり、古い血液や老廃物が体内に溜まってしまいます。
この状態を東洋医学では“瘀血”といいます。
瘀血では特徴的な所見がいくつかあります。
瘀血になると“刺すような痛み”、または“切られたような痛み”など特徴的な痛みがみられることがあります。
さらに痛む場所が変わることはなく、いつも“同じところで一定の痛さ”で痛みます。
また“しこりや腫れもの”などができる場合があります。硬く、押されると痛みがあるのが特徴的です。
これらの特徴から子宮筋腫は瘀血によって“生理痛”や“下腹部の痛み”、“筋腫”として症状がでてきているのではないかと考えられています。
子宮筋腫による不妊の鍼灸と効果的な漢方薬
瘀血は東洋医学でいう“五臓(肝、心、脾、肺、腎)”の“肝”の機能が深く関係していると考えられています。
肝は“全身に気や血を巡らせる”作用があり、肝の機能が低下すると全身の気や血の巡りが悪くなり瘀血の原因になってしまいます。
さらに肝には“血を蓄える”作用もあります。
肝の機能が低下し、血を蓄えることができなくなると出血を起こしたりすることがあり、この作用が子宮筋腫では“月経量の増加“や”不正出血“を起こすのではないかといわれています。
よって子宮筋腫による不妊の鍼灸施術では肝の機能を正常化し、気や血の巡りを良くして“瘀血の改善”をしていきます。
また場合によっては“刺絡(皮膚を切り、吸玉で滞った血液を体外に排出させる)”でお腹や腰回りなどを直接的に施術し、血流の改善をしていくこともあります。
また鍼灸とともに“漢方薬”を服用していただくことでより瘀血の改善が期待できます。
瘀血傾向がある方の不妊には“桂枝茯苓丸”や“芎帰調血飲第一加減”、“加味逍遙散”、“桃核承気湯”などがよく使われています。
漢方薬は体質にあったものを服用すると効果が期待できます。
体質に異なる漢方薬を服用すると場合によっては症状を悪化させてしまうことがあります。
自己判断による服用は避けてください。
漢方薬を服用の際はお近くの東洋医学の専門家を訪ねてください。
子宮筋腫による不妊を改善する大切な養生法3つ
ストレスをため込まない
さきほど紹介したように東洋医学では瘀血に深く関係しているのは“肝”です。
肝は“ストレス”の影響を受けやすく、過剰なストレスや緊張状態が続くと肝の機能を失調させてしまう恐れがあります。
肝は”自律神経”ととても深い関係があるため機能が失調すると妊娠に必要な”女性ホルモンの分泌”などに影響を及ぼします。
ストレスはため込まないように趣味の時間を作ったり、気分転換などをしたりしてなるべく日頃からストレスを解消させましょう。
また“不規則な生活習慣”もストレスに関わってきます。夜更かしなどはせず規則正しい生活を送ることも大切です。
栄養があるバランスのいい食事をする
”チョコレートなどの甘い物”や”油物(肉の脂身などの動物性脂質、バター、マーガリンを含む)”、”味の濃い物、アルコールの摂り過ぎ”は肝に負担がかかってしまうので控えバランスのいい食事をしましょう。
また冷たい飲み物や食べ物、果物や生野菜などは身体を冷やしてしまいます。身体が冷えると血流が悪くなり瘀血の原因にもなります。
冷たい物は避け、 “しょうが、にんじん、玉ねぎ、ごぼう、サバ、いわし、ほうじ茶”など身体を温めたり、血液をさらさらにしてくれる食材や飲み物を積極的に摂りましょう。
適度な運動をする
オフィスワークなどによる長時間座りっぱなしや同じ体勢でいたり、あまり身体を動かさないと血の巡りが悪くなり瘀血の原因になります。
適度な運動をして血流を良くし、身体を温めましょう。
ランニングなどの有酸素運動はもちろんですが、30分散歩をするなど自分の体力に合った運動をすることが大切です。
適度な運動は血流の改善だけでなく、ストレスの発散にもなるのでまずは週に2.3回を目安に取り入れてみましょう。
最後に
子宮筋腫だからといって妊娠できないわけではありません。
子宮筋腫では子宮が硬くなったり、子宮が収縮したりするため“流産や早産“などに注意しなければなりませんが無事に妊娠出産をされた方もいらっしゃいます。
子宮筋腫の場合、陽性腫瘍のため症状などなければ定期的に検査をしながら経過をみていくのが一般的です。
ですが筋腫の大きさや場所、数によっては手術が必要となってしまいます。
筋腫の大きさなどによっては鍼灸や漢方薬などを併用し瘀血を改善していくことで筋腫が小さくなることがあり、妊娠出産への近道にもなります。お近くの鍼灸院にご相談してみてください。
また当院では不妊治療や妊婦さんなど女性のための鍼灸院で漢方薬の処方もおこなっております。
一度ぜひご相談ください。
※大阪以外の遠方の方にも、お身体の状態や不妊治療の経過に合わせて、漢方薬や自宅できるお灸などをお伝えして対応していますので、気軽にメールや電話にてご相談ください。
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