2021年7月31日
【妊活】高プロラクチン血症による不妊の鍼灸と漢方薬

高プロラクチン血症の主な原因
高プロラクチン血症の症状と不妊の関係
東洋医学で考える高プロラクチン血症による不妊
高プロラクチン血症による不妊の鍼灸と漢方
高プロラクチン血症による不妊の養生法
はじめに高プロラクチン血症とは?
高プロラクチン血症とは、脳の下垂体から分泌される “プロラクチン”というホルモンが過剰に分泌される病気のことです。
プロラクチンとは脳の“下垂体“から分泌され、通常は妊娠から出産後に多くなります。
このホルモンには”乳汁分泌“や”性腺抑制“などをする働きがあり、出産後の授乳中に月経がこないのはこのためです。
ですがなんらかの原因で妊娠していないにも関わらずプロラクチンの分泌が増えてしまい”月経不順や乳汁分泌”などの症状があらわれるのが高プロラクチン血症です。
高プロラクチン血症の主な原因
高プロラクチン血症になる原因の多数は“ストレス”などにより“自律神経”や“ホルモン”の影響を受け、プロラクチンの分泌が過剰になっているのではないかといわれています。
そのほかにも稀ではありますが”プロラクチノーマ“などの腫瘍や” 抗うつ剤や吐き気止め、胃薬、抗アレルギー薬“など一部の薬剤も高プロラクチン血症の原因になることがあるといわれています。
(プロラクチノーマとはプロラクチンを作る細胞が増加し、プロラクチンを過剰に分泌してしまう良性腫瘍のことです。)
高プロラクチン血症の症状と不妊の関係
高プロラクチン血症になると妊娠や出産していないにも関わらずプロラクチンが過剰に分泌されてしまうため、時期に関係なく乳汁が分泌されてしまいます。
本来プロラクチンは授乳期で乳首に刺激が入ることでたくさん分泌されます。
一方で乳首が刺激されると子宮が収縮するので、その時に妊娠していると胎児に危険を及ぼします。ですので、授乳期に妊娠しないようにプロクチンで排卵しないようにコントロールされています。
また、妊活中で高プロラクチンの状態になると視床下部から放出される卵胞の発育を促す“卵胞刺激ホルモン(FSH)”や排卵を促す”黄体形成ホルモン(LH)“のはたらきが低下してしまいます。
そのため卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が抑制され、“排卵障害”や“黄体機能不全”を起こし、その結果“月経異常”や“不妊”などの原因になると考えられています。
お一人目が居て可愛いと抱っこしたりする瞬間にもプロラクチンは多く分泌されるといわれており、“2人目不妊”の原因になることもあるといわれています。
東洋医学で考える高プロラクチン血症による不妊
東洋医学の五臓(肝、心、脾、肺、腎)はそれぞれ働きを支え合ってバランスをとっています。
ですがなんらかの原因ででそれらのバランスが崩れると身体に様々な不調があらわれると考えられており、高プロラクチン血症の多くは五臓の“肝、心、脾、腎”の働きが失調によるものだといわれています。
全身の気や血を主る「肝」
“肝”は全身の“気や血”を主ります。
精神的な抑うつやイライラ、緊張感など続くと気や血の流れが悪くなります。気や血の流れが悪くなり肝のはたらきが低下すると、“本来出さなくてもいいものを体外に出してしまう”ことがあります。
さらに東洋医学でいう経絡の“肝経”は“下腹部、胸腹部、乳房”などを通るため、高プロラクチン血症ではそれらが原因で“乳汁”となって出てくるのではないかと考えられています。
また肝経は女性の月経とも親密な関係があり、“月経不順”や“不妊”を生じる原因にもなります。
精神活動をコントロールする「心」
“心”はあらゆる生命活動(心拍、呼吸、行動、言語など)の維持やすべての精神活動をコントロールするとても重要なもので、西洋医学でいう“脳”の部分にあたります。
心のはたらきが乱れると脳の視床下部から下垂体への指令がうまくいかず、ホルモンバランスが崩れてしまいます。
プロラクチンは脳の下垂体から分泌されるホルモンのため関係していると考えています。
全身の水分代謝をおこなう「脾」
“脾”は“水分代謝”が関係してきます。水分代謝が滞ってしまうと、脾とシーソーのようにバランスをとり合っている“肝”にも影響してきます。
例えば湿気の多い時期に余分な水分などが体内に溜まると“脾胃”の消化活動が阻害されてしまいます。するとイライラが止まらなくなったりします。
これは、脾のはたらきが低下することで肝が気や血を全身に巡らせることができなくなってしまいイライラの症状がでてくるということです。
これにより、脾のはたらきも高プロラクチン血症の原因でもある“ストレス”に大きく関係していると考えられます。
生殖機能に関係が深い「腎」
“腎”は“生殖機能“や”内分泌機能“を司ります。プロラクチンが分泌される下垂体は“内分泌器官”一つです。
さらに腎のはたらきは“卵巣”や“子宮”などの生殖器や“ホルモン調整”にも大きく関わってきます。
そのため何らかの原因で腎のはたらきが失調してしまうと生殖機能の衰えやホルモンバランスの崩れ乱れ、高プロラクチン血症によることがあと考えられています。
高プロラクチン血症による不妊に効果的な鍼灸と漢方薬
東洋医学では五臓(肝、心、脾、肺、腎)の一つでも病んでしまうと、五臓全体のバランスが崩れ様々な症状が出てくると考えられています。
高プロラクチン血症はストレスなどによる“自律神経”や“ホルモン”の乱れにより発症していると考えられているため、鍼灸では五臓全体のバランスを整えていくことが大切です。
例えばストレスにより高プロラクチン血症を発症したとします。
東洋医学でストレスは“肝”のはたらきが低下したものだと考えられます。よって五臓のバランスが崩れてしまい、肝だけでなく“腎”などにも影響しホルモンの乱れなどがでてきます。
その場合は“肝”と“腎”のバランスを整えてあげることで症状が緩和されます。
鍼灸施術とともに漢方薬を服用することでより効果が期待できます。
高プロラクチン血症による不妊の場合、ストレスなどで“肝”の気や血の巡りが悪くなっていることが多いので“加味逍遙散”や“芎帰調血飲第一加減”、“桂枝茯苓丸”などが多く使われています。
さらに“腎”の場合は“八味地黄丸”やプロラクチンの分泌を抑制することができるといわれている“炒麦芽”を使うこともあります。
漢方薬は体質にあったものを服用することが大切です。
自己判断による服用は避けてください。場合によっては症状を悪化させてしまうこともあります。
漢方薬を服用の際はお近くの東洋医学の専門家にお聞きください。
当院では鍼灸施術とともに漢方薬の処方もしておりますのでお気軽にご相談ください。
高プロラクチン血症による不妊の養生法
高プロラクチン血症は“ストレスをかけない”ことが一番大切です。
・気分転換の時間を作り、好きな趣味や運動をする
・夜はできるだけゆっくりと身体を休める
・夜更かしせず1時間でも早く寝る
などできるだけ身体にストレスをかけないようにしましょう。
さらに“食生活”も大切です。
甘い物や脂っこいものを食べ過ぎてしまうと“脾胃”のはたらきが低下したり、アルコールの飲みすぎなどは“肝”に影響してきます。
さらに冷たい飲み物や果物などは身体を冷やしてしまい、全身の血の巡りが悪くなってしまいます。
身体を冷やすものはできるだけ避け、“しょうが”や“ごぼう”、にんじん、れんこんなどの根菜”、“豆類”、“ほうじ茶”など身体を温めるものを積極的に摂取しましょう。
最後に
高プロラクチン血症だから妊娠出産できないわけではありません。
現状、高プロラクチン血症は不妊専門クリニックで処方される“カバサール”によって改善され妊娠も可能です。
ですが、高プロラクチン血症になっている根本的な原因ともいえる体質や生活習慣に目を向けることが妊娠への近道です。
ですから鍼灸や漢方薬、養生法などを併用していくことが大切です。
当院は不妊治療や妊婦さんなど女性のための鍼灸施術だけでなく、体質に合った漢方薬の処方や養生のアドバイスなどもおこなっていおりますのでぜひ一度ご相談ください。
※また大阪以外の遠方の方にも、お身体の状態や不妊治療の経過に合わせて、漢方薬や自宅できるお灸などをお伝えして対応していますので、気軽にメールや電話にてご相談ください。
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