2021年7月16日
【妊活】子宮内膜症による不妊を改善する鍼灸施術と効果的な漢方薬
子宮内膜症とは?
子宮内膜症とは20~30代の女性に多く、”子宮内膜またはそれに似た組織が何らかの原因で子宮の内側以外の場所で増殖と剥離を繰り返す”疾患です。
女性ホルモンの影響により本来の子宮内膜と同じように増殖した組織は月経時に剥離し出血を起こします。
ですが子宮内膜症の場合は子宮外で出血を起こしているため、体外に血液は排出されません。
それが子宮内にに溜まると炎症を起こし、強い痛みや癒着、不妊の原因になります。
卵巣にたまった場合の子宮内膜症は、“チョコレート嚢胞”といわれています。
子宮内膜症の主な症状
子宮内膜症の患者さんの約90%の方にみられるのが”強い月経痛”です。
月経の回数を重ねるたびに痛みは増し、次第には”下腹部痛だけでなく悪心嘔吐を伴う”ことがあります。
そのほかにも”過多月経や不正出血による貧血や子宮内膜がダグラス窩(子宮と直腸の間)にできると性交痛”なども伴います。
子宮内膜症はなぜ不妊の原因になるのか?
不妊との因果関係は明らかにされていませんが西洋医学で子宮内膜症は”骨盤周囲の慢性的な炎症”といわれています。
その炎症により骨盤内には水が溜まる(腹水)ことがあり、この腹水中には免疫担当細胞が増加したり、炎症物質のサイトカインが増加したりします。
その結果”卵胞の発育が阻害され、卵子の質の低下や受精率、妊娠率に影響を及ぼしている”と考えられています。
さらに子宮内膜症の炎症や癒着によって組織が変形すると”スムーズに排卵ができなくなったり、卵管の通りが悪くなったり、排卵された卵子を卵管に摂り込めなくなったりする”ため不妊につながるとも考えられています。
東洋医学で考える子宮内膜症の原因とは?
東洋医学で子宮内膜症の多くは“瘀血”が原因と考えています。
瘀血とは”食生活の偏りや運動不足、冷え、ストレスなどにより血液の流れが停滞し、汚い血や古い血などが体内に溜まった状態”をいいます。
例えば、身体を“家”とします。生活をしていると必ずゴミが出ます。
そのままにしておくとゴミが山積みにされていると、家の中でスムーズな生活ができなくなります。
それを防ぐためにも定期的にゴミ出して、家の中を綺麗に保たなければなりません。
人間の身体も同じです。
血液を循環させ、老廃物などを体外に排出し、綺麗な状態を保つ必要があります。
瘀血は血液の循環がうまくいかないわけですから”老廃物などが排出できなくなり体内に溜まり、うっ血や逆流”など起こします。
老廃物が体内に溜まり、逆流などを起こしたものが子宮内膜症の原因になります。
また瘀血で全身の血の巡りが悪くなると子宮や卵巣に血液や栄養が行き届かなくなってしまうため、”卵子の質の低下や着床に必要な子宮内膜が作られなくなり着床障害が起きる”などの恐れがあるため不妊の原因にも瘀血が関係していると考えられます。
子宮内膜症の原因になる「瘀血」の改善方法3つ
食生活の見直しをする
”油物や甘い物、味の濃いもの”の食べ過ぎは血液をドロドロにし、瘀血の原因になるためできるだけ控え、”血液をさらさらにしたり、体を温めたりする食材を摂取しバランスの良い食事”を摂りましょう。
おすすめの食材は”玉ねぎやさんま、いわしなどの青魚、にんにく、ほうれん草、桃、らっきょう、黒豆、酢”などが血行促進を期待できます。
ですが、多く摂りすぎると逆効果になることがあるので適度に摂取することが大切です。
また冷たい食べ物や飲み物も血流を悪くする原因になるため控えましょう。
飲み物では”緑茶や麦茶、烏龍茶”などは身体を冷やす作用があるため飲みすぎには注意が必要です。
身体を温める作用のある”ほうじ茶やタンポポ茶、お白湯”などがおすすめです。
適度な運動をし血流を改善する
適度に運動をし、血流を良くしましょう。
ランニングなどの有酸素運動はもちろんですが歩いて買い物に行ったり、散歩をしたりすることからはじめてみましょう。
自分の身体に見合った運動を継続していただくことが瘀血を改善するにはとても大切なことです。
また適度な運動は気分転換にもあるため、”ストレスの解消”にもなります。
ストレスは”自律神経やホルモンバランス”に大きく影響するため日頃からストレスをため込まないように心がけましょう。
身体を冷やさないようにする
瘀血は先ほどもご紹介したように全身の血の巡りが悪くなるためとても身体が冷えやすくなっています。
瘀血を改善するためには”全身の血流を良くする”ことが必ず必要なため、身体を温めなければいけません。
そのため入浴の際は”シャワーだけで済ませるのではなく湯船に浸かったりして身体を温めり、夏場でもクーラーなどで体を冷やさないように薄着を控えたりする工夫も必要”です。
就寝の際も”レッグウォーマーや湯たんぽを使う”などをしてできるだけ身体を冷やさないように心がけましょう。
子宮内膜症の瘀血に対する鍼灸施術と効果的な漢方薬
東洋医学で瘀血は、五臓(肝、心、脾、肺、腎)の“肝”に注目して治療していきます。
肝には”全身の気や血を巡らせ、血液量を調節する作用”があります。
この肝が”ストレス”などで働きが低下すると全身の血液の循環がうまくいかなくなり、瘀血が生じやすくなると東洋医学では考えられています。
根本的な治療として五臓全体のバランスを見ながら鍼やお灸をして”肝の働きを良くしたり、血流を改善”したりします。
場合によっては”刺絡(皮膚を切り、吸玉で滞った血液を体外に排出させる)”という直接的な治療法でお腹や肩周りなどの瘀血を取り除いたりもします。
さらに先ほど紹介した改善方法3つや鍼灸施術に加え、漢方薬を飲むとより効果が期待できます。
瘀血傾向のある方には、“桂枝茯苓丸や芎帰調血飲第一加減、加味逍遙散”などがおすすめです。
※漢方薬は体質に合ったものでないものを服用すると症状が悪化する恐れがあるため、自己判断での服用は避け、お近くの東洋医学の専門家に相談したうえで服用しましょう。
当院では鍼灸施術だけでなく、体質に合った漢方薬の処方もおこなっておりますので心当たりのある方は是非一度当院にご相談ください。
自宅でできる子宮内膜症を改善するお灸
ドラックストアなどでも売られているせんねん灸などを使うと簡単に自宅でもお灸をすることができます。
おすすめのツボは“三陰交”です。
“内くるぶしの一番高いところから指幅4本分上の骨と筋肉の間”にあたります。
瘀血になる原因の一つである”冷え“にとても効果的なツボで際に治療院でも不妊症や婦人科疾患などで三陰交はよく使われています。
まずは左右に1壮ずつからはじめてみてください。
詳しいツボの取り方とお灸の仕方は以下の動画を参考ししてみてください。
ご紹介した三陰交の場所はあくまで目安です。
ツボの位置は体格によって異なることがあるためより正確な場所を知りたい方はお近くの鍼灸院の先生にご相談ください。
当院では、子宮内膜症の治療でも三陰交は使用していますがごく一部のツボです。
実際他にも婦人科疾患や瘀血改善に効果的なツボがあります。
三陰交のお灸はもちろんですが、鍼灸院で全体的な治療を受けていただく方がより効果的ですので心当たりのある方はぜひ一度当院にご相談ください。
また大阪以外の遠方の方にも、お身体の状態や不妊治療の経過に合わせて、漢方薬や自宅できるお灸などをお伝えして対応していますので、気軽にメールや電話にてご相談ください。
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