2019年12月26日
卵子の質を上げるには何時に寝ると効果的?妊活のための睡眠の理由と解説
前回は卵子の質をあげるためには、7.5~8.5時間の睡眠が適切ですとお伝えしました。
6時間以下や9時間以上の睡眠時間では、こころや身体に不調をきたすことが科学的にも立証されているからです。
それでは、卵子の質を高めるために何時に眠りにつくのが良いのでしょうか?
そういった質問にお答えしたいと思います。
この記事の内容
1 卵子の質を上げるために何時に眠りにつくと良いのか

結論から言うと、卵子の質を上げるには22時までに眠りにつくことです。
なぜなら、22時までに眠ることで、アンチエイジングに関わる「腎」をしっかり養うことができるからです。
東洋医学で「腎」は、成長、老化、生殖に関わると考えています。
ですから、この「腎」を養うことが卵子の老化を防ぎ、アンチエイジングするにはとても大切な要素になるのです。
1-1 38歳Dさんのケース
体外受精で採卵しても受精卵が育たずに凍結保存できない。
2018年10月ショート法にて採卵し15個採れたが1個しか凍結保存できなかった。
問診で生活習慣をお聞きすると、8時間の睡眠は確保しているが、毎日24時頃に就寝しているとのことでした。
そこで生活習慣の改善として、22時までの就寝をおすすめしたのですが、なかなか実践することができないとのこと。
というのは、ご主人の帰りが21時半と遅く、そこから晩御飯、お風呂に入っていると、どうしても就寝が24時頃になってしまうというのです。
22時までの就寝の重要性を再度お伝えしたところ、ご主人と相談され、遅く帰宅される時は、夕食などの準備はしておいて、ご主人より先に就寝するように工夫されました。
その頃からお通じが良くなったり、朝起きた時の疲れも感じにくくなり、明らかに体調も良くなられました。
脈をみても潤いのある良い脈になっているのを感じましたので、採卵をしていただくことになり、その4か月後に採卵して見事に14個採れ、5個を胚盤胞で凍結保存することができました。
そして1回目の移植で見事に陽性反応が出て、現在28週になられました。
早くの睡眠を心がけていただいたことで、卵子の質が上がるのを実感できたケースでした。
1-2 42歳Aさんのケース
自然周期での採卵を続けているが、採卵しても空胞や採れても育たなかったり、FSH値も上がり採卵できないことも。
ドクターにもどうすることもできないと言われ、当院に来院されました。
Aさんは就寝が24時前後でしたので、早く就寝することの重要性をお伝えしました。
元々、ご主人も帰宅がそんなに遅くなく、夕食後に飲酒しながらまったり過ごす習慣だったそうです。
潤いのあるご夫婦の習慣は良いと思うのですが、年齢のこともあり睡眠を優先してもらうことで、ご主人ともに納得していただけました。
さっそく、22時までに就寝することを実践され、3か月後の採卵では1年振りに胚盤胞で凍結保存ができ、大変喜んでいただきました。
22時までの就寝に改善することで、卵巣の疲れもとれ、卵子の質が上がるのを感じたケースでした。
自然周期での採卵といっても全く薬を使わないわけではありませんので、漫然と採卵を続けていると、卵巣が疲れてきて、良い卵子が採れなくなってくるようです。
22時までの就寝に改善することで、卵巣の疲れもとれ、卵子の質が上がるのを感じたケースでした。
2 気を付けたい点

実践するにあたり、次のようなことに気を付けてください。
① ご夫婦でよく話し合う
ご夫婦の場合、就寝する時はお一人ではありませんから、22時までの就寝を優先できるように、ご主人にも協力してもらいましょう。
そのためによく話し合ってください。
② 早く寝るというより早く起きる
22時までに就寝しようとしても、なかなか寝付けないという方は、まずは起きる時間を5時半から6時半に決めて、必ずその時間に起きるようにしましょう。
起きた時間から15時間後にメラトニンが増えはじめ眠たくなってきます。
つまり、6時に起床したとすると、15時間後の21時頃から眠たくなってきますので22時に寝付きやすくなるのです。
③ 2週間から1か月ほどかえって不調になることもあるので注意
私も経験したのですが、今までより早く就寝すると、頭痛がしたり、体が重かったり、しっかり睡眠をとっているにも関わらず眠たくて起きることが出来ないなど、かえって不調のような症状がでることがあります。
これはまだ体が慣れていないので起こるのではないかと考えています。
2週間から1か月でそのような症状を感じなくなりますので、自分には合わないと諦めずに続けてみてください。
④ ストレスになるようなら無理に実践しない
22時までに就寝することを優先するあまり、ご主人との関係がギクシャクしたり、そのことがストレスになるようではかえって妊娠しにくくなります。
妊娠するためにやっていることなのに、逆に妊娠しにくくなっているようでは本末転倒ですよね。
当院でもどうしてもストレスになるようであれば、「無理に実践しなくていいですよ」とお伝えしています。
3 まとめ

東洋医学では、「睡眠時間」より大切と考えられているのは、「何時に眠るか」ということです。
東洋医学には「陰・陽」という考え方があります。
身体や自然界のすべてを2つの要素に分けて捉えた概念で、相反する性質の2つが互いに協力することで均衡を保とうとする考え方です。
自然界では「夜は陰の時間」で「昼は陽の時間」になります。
この陰陽の自然のリズムに従って、明るいうちは活動し、暗くなるにつれて活動を控えて睡眠をとるということが、陰陽のバランスをとる上で大切なリズムになります。
なぜ早く眠りにつくことで卵子の質を上げることができるかというと、東洋医学ではこの陰の時間にしっかり身体を休めることで「腎」が養われると考えているからです。
この腎は生殖、老化、成長を司るので、遅い時間に就寝することを続けていると、腎を損傷し老化を促してしまうのです。
こういう理由から、早い時間に睡眠をとることが腎を養いアンチエイジングの効果につながるのです。
ですので、22時までの就寝を習慣化しましょう。
そうすることで、卵子の質が上がり、より妊娠という結果につながりやすくなると思います。
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