2018年2月3日
信頼できる不妊鍼灸院を見つけるための8つのポイント
良い鍼灸院の選び方を教えてほしいという質問がありました。
下記のような内容のメールです。
「初めまして、Fと申します。
現在、第二子の妊娠を希望しているのですが、
1年ほど妊娠の兆しがない状態です。
1人目は無事出産しておりますので、
産婦人科で不妊治療を始めるには迷いがあり、
まずは鍼灸から始めようと思い立ちました。
鍼灸の経験が全くなく、
どの鍼灸院を選べばよいか迷っている状態です。
三ツ川レディース鍼灸様は、
やや自宅から遠い場所にございますので、
通えるかどうか不安があります。
そこで、良い鍼灸院の選び方など御座いましたら
教えて頂きたいです。」
という内容のメールでした。
当院が不妊をメインに鍼灸を始めてから、
13年目になります。
当初は不妊をメインで行っている鍼灸院は、
当院を入れて大阪では3院ほどでした。
それが5年ほど前から、
全国的に不妊を謳う鍼灸院が増えました。
これは、一部の商業主義の鍼灸院が、
不妊鍼灸が儲かるとセミナーを開催し、
そういったセミナーに参加した鍼灸師が、
安易に儲かるからと不妊鍼灸を謳っています。
未だ赤ちゃんに恵まれていない方々にとって
鍼灸を取り入れて、
妊娠する可能性を高めたいという思いは、
非常に切実です。
そういった方々が、
ただ儲かるからという商業的な考えだけで、
不妊を謳う鍼灸院を選択してしまっては、
逆に妊娠から遠ざかってしまいます。
女性にとって、
妊娠できる期間は限られています。
不妊治療をされている方にとって、
時間は本当に大切なものです。
またこれまで、
少しでも多くの方に、
赤ちゃんを抱いてほしいという思いで、
まじめに築いてきた不妊鍼灸が、
こういったことで衰退してしまうのも、
非常に残念なことです。
切実な思いで
不妊治療に取り組んでいらっしゃる方々に、
少しでも参考になればという思いで
鍼灸師の立場から、
「不妊鍼灸院の選び方」をまとめたいと思います。
気になる鍼灸院のホームページを見て、
以下8つのポイントをチェックしましょう。
【8つのポイント】
① 値段が極端に高くないか
② 妊娠率を明示しているが極端に高い
③ メディアで掲載された!は全て広告です
④ 施術者の臨床経験は豊富か
⑤ 学術団体に所属しているか
⑥ プライバシーの配慮がなされているか
⑦ 鍼灸以外の整体などのメニューがある
⑧ 東洋医学的な鍼灸であるか
順番に見ていきましょう。
① 値段が極端に高くないか
鍼灸院の治療費は保険が効かず実費になります。
大阪で鍼灸院の治療費の平均は、
4,000円が相場ではないでしょうか。
そんな中、不妊専門鍼灸院の治療費は
7,000円を超えているところがあります。
高い所では10,000円を越えているところすらあります。
治療費が高い分、
必ずしも技術も高いというわけではありません。
相場の治療費より高いのは、
不妊専門だからということです。
ですが、鍼灸師として知っておく必要がある
不妊における西洋医学的な知識は、
3か月もあれば十分知ることができます。
確かに西洋医学的な知識も無いより、
詳しく知っていることは大切なことです。
ですが、それより大事なことは、
鍼灸で身体にしっかり良い変化を与える技術があるかないかです。
鍼灸では不妊専門だから、
特別な治療をおこなっている訳ではありません。
ただ単に不妊専門と謳うだけで値段を上げているのです。
専門とすることでより付加価値を上げようとしているのですが、
何をもって不妊専門かはあいまいです。
それより大事なことは、
鍼灸で身体にしっかり良い変化を与える技術があるかないかです。
あなたならどちらを選びますか?
- 西洋医学的な不妊の知識はあるが身体に変化がない治療
- 西洋医学的な不妊の知識はそこそこで不妊専門ではないが、
しっかり身体に良い変化を与えられる治療
後者の方が、より妊娠に近い鍼灸院と言えます。
西洋医学的な不妊の知識もしっかりあり、
身体に良い変化を与えられる鍼灸院が、
より良いのは言うまでもありません。
ここで言いたいのは、
必ずしも不妊専門鍼灸院が良いとは限らないということです。
② 妊娠率を明示しているが極端に高くないか
妊娠率などが80%以上など、
極端に高くなっている鍼灸院が見受けられます。
ですが、そもそも分子と分母をどのようにとるかで、
数字はいかようにも変えることができます。
具体的な数字には目がいきやすいものですが、
その鍼灸院が独自に算出していることなので、
客観性が無く、どこまで信じていいのか分かりません。
また、妊娠することが目標ではありません。
その方が元気で元気な赤ちゃんをその手で抱くことが、
目標ではないでしょうか。
③ 「メディアで掲載された!」は全て広告です
ホームページで、
メディア「不妊専門情報誌」で掲載されました、
もしくは取り上げられました、
と自身のHPで謳っている鍼灸院があります。
例えば、「赤ちゃんが欲しい」「妊活スタート」「jineko」などです。
こういった不妊専門情報誌に掲載されましたと、
HPで謳ってはいますが、
実は不妊鍼灸で実績があるということで取材された訳ではなく、
その雑誌の広告企画会社にお金を払って「広告」しているだけなのです。
現に私のところにも年に数回は、
そういった広告代理店から不妊専門情報誌に、
取材といった形の広告を出しませんかと案内が送付されてきます。
その広告費は15万円以上もします。
高い広告費を払っても、
採算がとれるということなのでしょう。
ですから、不妊専門情報誌で紹介されている鍼灸院は、
必ずしも鍼灸の実力が高いという訳ではありませんので、
注意してください。
④ 施術者の臨床経験は豊富か
臨床経験の浅い鍼灸師は、
人の身体を整えて妊娠に導く技術力は弱い可能性が高いです。
鍼灸学校を卒業しても、
人の身体を治すことができないのは、
鍼灸師なら誰もが知っていることです。
ほとんどの鍼灸師が、
学校は国家試験に合格して免許をとるためと認識しています。
学校を卒業して免許をとってからが、
鍼灸師としての本当の勉強です。
例外的に鍼灸学校の学生時代から、
学術団体に所属して研修していたり、
もしくは東洋医学的な鍼灸をする師匠についてる方もいらっしゃいますし、
誰にでも免許取り立ての頃があります。
当然、私にもありましたし、
若い鍼灸師の方でも頑張っている方もいらっしゃいます。
ですが、不妊で悩んでいらっしゃる方には時間がありません。
鍼灸学校を卒業して、
せめて5年以上の学術団体での研修、
もしくは東洋医学的な鍼灸をする師匠についてから、
不妊治療に取り組んでもらいたいものです。
まずはホームページの施術者の経歴を確認してください。
経歴の浅い鍼灸師は不利になる情報ですので、
敢えて記載していないことが多いです。
その場合は電話やメールで訊ねてみると良いでしょう。
⑤ 学術団体に所属しているか
自身で勉強している。
自院でスタッフに対して勉強会を開いているといっても、
ひとりよがりになりますし、限界があります。
学会などで古典や新しい学術を身に付けたり、
日々の臨床などの治験を発表して、
他の鍼灸師の意見や治療法を聞いたりすることで、
臨床力も上がっていきます。
学術団体に所属しているということは、
身体を整えて妊娠に導くことができる
実力のある鍼灸師である可能性が高いでしょう。
⑥ 個室などプライバシーの配慮がなされているか
整骨院も併設されている鍼灸整骨院などでは、
整骨院の患者も来院されています。
カーテン越しに他の患者さんが寝ているところで、
不妊に関することを相談できるでしょうか?
ホームページなどで確認しましょう。
⑦ 鍼灸以外の整体などのメニューがある
東洋医学は基本的には、
「鍼灸」と「漢方薬」と「養生」です。
「鍼灸」が不妊に効果があるという根拠は、
世界中で示されていますが、
「整体」が不妊に効果あるという根拠はありません。
整体やストレッチなどのメニューをたくさん作っては、
単価を上げようとしているようです。
また、鍼灸の知識・技術そのものに自信が無い、
というのもあるのではないでしょうか。
⑧ 東洋医学的な鍼灸であるか
鍼灸と言っても大きく2種類あります。
東洋医学的な考えを基にした鍼灸と
西洋医学的な考えを基にした鍼灸です。
東洋医学的な考えを基にした鍼灸とは、
身体全体のバランスを整えて、
生命力や治癒力を上げる鍼灸です。
西洋医学的な考えを基にした鍼灸とは、
刺激鍼(しげきばり)や特効穴治療のことで、
身体のバランスを整えるという発想で鍼灸をしません。
これは対症療法という言い方もできます。
対症療法とは根本的な病気の原因に対する治療ができない場合に
とりあえず患者の症状に対応して処置するということです。
私たち東洋医学的な鍼灸師も、
対処療法的な鍼灸も必ずおこないます。
今ある症状に対しておこなう鍼灸と
根本的な原因にアプローチをする鍼灸を併用しておこなうのです。
こうすることで今ある痛みなどの症状に対応しながら、
そもそもそういった症状が出ない身体にしていくのです。
ですから対処療法的な鍼灸を否定するわけではありません。
ですが、この考え方の鍼灸だけだと、
根本的な原因は先送りにしてしまうことと、
いすれ効果が見込めなくなるという問題が生じます。
対症療法や刺激療法というのは、
続けていると身体が反応しなくなってくるからです。
そうすると、もっと強い刺激でないと反応しなくなり、
それでも反応しなくなれば、
もっともっと強い刺激と際限がありません。
そのうち過剰な刺激によって、
身体の状態の方が悪くなるでしょう。
例えば不妊治療の現場でも、
採卵で刺激療法を続けておこなっていると、
卵巣が疲れて機能が低下して、
徐々に採卵の数が減ったり質が悪くなるという、
経験をされたことがある方は多いと思います。
もう一つ例を挙げると、
毎回の生理痛を痛み止めで対処しているとしましょう。
その時、痛みは軽減され、
快適に過ごすことができるかもしれませんが、
そもそも、なぜ生理痛が起こるのか?
その原因にはアプローチせず、
根本的な問題は先送りすることになります。
いずれその問題はもっと大きくなり、
子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫といった、
取り返しのつかない状態になってしまうかもしれません。
ですから、東洋医学的な考えを基にした鍼灸で身体のバランスを整えて、
本来持っている生命力(妊娠力)を高めるという発想が大切なのです。
その上で対症療法もおこなうことで、
より効果が高まり、
妊娠そしてお産という結果に繋がりやすくなるのです。
以上、「鍼灸師が教える不妊鍼灸院選びの7つのポイント」を挙げました。
このブログを見ても、
鍼灸師でない方に良い不妊鍼灸院を見極めるのは難しいかもしれません。
そこで、どうしても気になる鍼灸院があるので、
その鍼灸院が本当に良い不妊鍼灸院なのか見極めてほしい方。
同じ学会所属で不妊症に対応可能な鍼灸院を紹介してほしい方は、
下記の問い合わせフォームにて、
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こちらで見極めた上でご返信いたします。
※鍼灸院の見極めは有料となっています。
1件5500円から承っています。